【医師監修】風邪の引き始めサインとは?早めに治す方法と風邪予防のポイントを解説します

【医師監修】風邪の引き始めサインとは?早めに治す方法と風邪予防のポイントを解説します

風邪を長引かせないためには引き始めの対策が肝心です。不調のサインを見逃さず、適切なアクションを行い、体の回復を待ちましょう。ここでは、風邪の引き始めサインと早めに治す方法、風邪予防に効果的な心がけまで詳しく解説します。

  • 風邪(感冒)はどんな病気?
  • 風邪の引き始めサインとは?
    • 風邪の症状
    • 風邪(感冒)とインフルエンザ(流行性感冒)の違い
    • 主な感染経路
    • 【セルフチェック】風邪にかかりやすいのはどんな人?
  • 風邪を早く治す方法
    • 睡眠を十分にとる
    • 必要な栄養素を摂取する
    • 体を温める
    • 水分補給
  • 風邪の引き始めは市販薬でもケアできる
  • 風邪の引き始め、間違いやすいケアは?
    • 症状が軽ければ入浴もOK
    • 体を冷やすのは「熱が上がりきってから」
  • 風邪予防に大切な4つの対策
  • 風邪の引き始めサインを見逃さないで!

風邪(感冒)はどんな病気?

風邪(感冒)はどんな病気?

うがいや手洗いで予防を心がけても、寝不足だったり、体力が落ちていたりすると感染しやすくなる風邪。風邪は鼻や口から肺につながる「気道」のうち、上気道(鼻や喉)に起きる炎症性の症状を指し、医学的には「感冒(かんぼう)」や「風邪症候群」と呼ばれています。

風邪の原因のほとんどはウイルス感染です。ウイルスの種類は200種類以上あると言われており、一度免疫ができても、異なるウイルスや変異したウイルスに感染すれば症状が現れます。また、まれに細菌などウイルス以外の感染により風邪の症状が引き起こされることもあります。

風邪の引き始めサインとは?

ウイルスが鼻や口を介して体内に侵入すると、まず上気道に付着し炎症を起こします。咳やたん、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、喉の痛みなどの呼吸器症状が見られたら、風邪の引き始めかもしれません。小さな違和感を見逃さず、体を休めて回復に努めましょう。

風邪の症状

風邪の関連症状には呼吸器症状のほかに、消化器症状、全身症状があります。

上気道の炎症物質が血流にのって全身に広がると発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状を起こします。場合によっては腹痛、吐き気、下痢、嘔吐などの消化器症状が現れることもあり、風邪症状は幅が広いことも特徴です。

風邪の症状は十分な睡眠と栄養補給で体力を回復させれば、1 週間ほどで治まります。ただし、免疫力が低下していると細菌によって気管支炎や肺炎を引き起こす「二次感染」のリスクが増すため、治りにくいと感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

風邪(感冒)とインフルエンザ(流行性感冒)の違い

ウイルス感染を原因とし、気道で炎症が起きる特徴から「インフルエンザ」も風邪症候群の一種に分類されています。

※ただし、インフルエンザの場合は、発熱や関節の痛みなどの全身症状が重く、肺炎などの重度の合併症を引き起こすリスクが高いため、国立感染症研究所は一般の風邪症候群とわけて考えるべきと注意を促しています。

インフルエンザは、風邪の症状に加えて、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった症状が急速に発現することが特徴です。症状が重いと感じたら、我慢せずに医療機関を受診しましょう。周囲への感染拡大を防止するため、医療機関を受診する際はまず電話等で連絡し、医療機関の指示に従って行動してください。

関連記事:【医師監修】インフルエンザにかからないために。予防法、発症しやすい人の傾向は?

主な感染経路

風邪の感染経路は、感染者の咳やくしゃみを口や鼻から吸い込んで発症する「飛沫感染」、または感染者が触れたもの(ドアノブやつり革など)に触れた手で口や鼻を触ることで発症する「接触感染」が一般的です。いずれの場合も、風邪にかかった人のウイルスをもらうことで感染します。

【セルフチェック】風邪にかかりやすいのはどんな人?

生活習慣の乱れや疲労、寝不足などにより体力が落ちていると風邪をひきやすくなります。加えて、人と近距離で会話することが多い、家や職場の空気が乾燥しているなどの外的要因もウイルス感染の一因です。ぜひこの機会にセルフチェックをしてみましょう!

  • 十分な睡眠時間が取れていない
  • 夜中に目が覚めるなど、睡眠の質が低いと感じる
  • コンビニ食、インスタント食が多く、食事のバランスが偏っている
  • 外出して帰宅した後に手洗い・うがいをしない
  • 普段から人混みに出ることが多い
  • 空調が効き、空気が乾燥しがちな場所に長時間いる

風邪を早く治す方法

風邪を早く治す方法

風邪を長引かせないためには、引き始めの対策がとても大切です。自身の免疫力や体力を高めてウイルスを退治しましょう。

睡眠を十分にとる

咳や発熱などの症状で、自分が思っている以上に体力を消耗しています。余分な体力を使わず安静でいるために、いつもよりも長い睡眠時間を確保し、良質な睡眠を取ることに努めましょう。体をリラックスさせるために、寝る前に温かい飲み物を飲むのもおすすめです。

必要な栄養素を摂取する

体力や免疫機能を高めるためには、栄養バランスの整った食事を摂ることが重要です。中でもタンパク質は免疫機能の維持に欠かせないため、ゆで卵や豆腐など、手軽に食べられるものから効率よく摂取しましょう。また、ビタミンAやCも、粘膜の健康維持を助ける働きがあり、鼻や喉の風邪症状の緩和が期待できます。ビタミンを豊富に含むホウレン草やニンジンなどの緑黄色野菜、じゃがいも、バナナなどは食事にも取り入れやすくておすすめです。

体力をつけようと肉などカロリーの高い食事を摂ると、かえって消化に負担がかかるため、食欲のない時には消化の良い食事をとるようにしてください。おかゆやスープなど薄味で温かいものや、ヨーグルト、カットフルーツなど栄養価が高いものを選びましょう。

体を温める

風邪の引き始めには、発熱や悪寒、震えなどの症状が出ることがあります。これはウイルスを増やさないために脳が全身に指令を出して、体温を上昇させているためです。

この段階で体を冷やすと、ウイルスの活動を抑えることができないため、熱が上がりきって寒気がなくなるまでは体を温めるようにしましょう。大きな血管が集まる3つの首(首、手首、足首)を温めると効率的ですので、靴下やネックウォーマーを活用するのもおすすめです。

寒気がなくなったら体を温めることをやめ、通気性の高い衣服に着替えたり、布団の枚数を減らしたりして熱を逃がしましょう。

水分補給

脱水状態になると免疫力が低下しやすくなるため、水分は十分に摂るようにしてください。特に発熱時には、汗をかくことで水分不足になりやすくなります。常温の水やスポーツドリンク、経口補水液などで適宜水分を補いましょう。

風邪の引き始めは市販薬でもケアできる

風邪の引き始めは市販薬でもケアできる

風邪の症状を抑えるためには、症状に応じて「解熱鎮痛薬」や「総合感冒薬」に分類される市販薬の使用もおすすめします。

解熱鎮痛薬は熱や痛みを抑える働きがあります。一方、総合感冒薬はかぜの諸症状(鼻水,鼻づまり,くしゃみ,のどの痛み,せき,たん,悪寒(発熱による寒気),発熱,頭痛,関節の痛み,筋肉の痛み)を緩和します。これらは併用できないため、症状に合わせていずれか一方を選んでください。

ただし、薬を飲んだからと言って無理は禁物です。水分や必要な栄養素を積極的に摂取したうえで、安静にしましょう。

風邪の引き始め、間違いやすいケアは?

風邪の引き始めにやってしまいがちな勘違い対策について、正しい対策法を紹介します。

症状が軽ければ入浴もOK

「熱があるときは入浴を控えるべき」と言われるのは、熱い湯に長く入浴すると体力を消耗してしまうためです。症状が軽ければいつも通り入浴して問題ありません。ただし、湯冷めによって症状を悪化させないよう、お風呂後はすぐに服を着て、早めに髪を乾かすようにしましょう。

体を冷やすのは「熱が上がりきってから」

体は発熱によりウイルスを撃退しようとするため、熱が上がりきるまでは体内の熱を逃さないよう作用します。そのため、発熱に伴って悪寒が起こっている時は体を温めることが大切です。

関連記事:【医師監修】熱を下げる方法とは?急な発熱に備えて用意しておきたいもの

風邪予防に大切な4つの対策

風邪予防に大切な4つの対策

風邪予防には日頃から正しい生活習慣を意識することが大切です。免疫力を維持して、風邪に負けない体づくりを心がけましょう。

睡眠は毎日最低6時間を基本とし、暴飲暴食や栄養バランスの偏った食事はなるべく避けましょう。また、適度な運動を継続することも効果的です。汗を軽くかき、心拍数が少し上がる程度の軽い活動を毎日20分行うことをおすすめします。

さらに、乾燥の季節は部屋の加湿で喉や鼻の粘膜を保護したり、保湿効果のあるマスクを活用したりと、保温・保湿も意識するとよいでしょう。

風邪の引き始めサインを見逃さないで!

風邪を長引かせないようにするなら、風邪の引き始めサインを見逃さないことが大切です。少しでも体調の変化を感じたら、自分の体を労わって休息をとりましょう。症状がひどくなる場合には、医療機関への早めの受診をおすすめします。

監修者写真

監修者
福井美典 先生
福井内科医院勤務
糖尿病内科、救急医療、総合内科、美容皮膚科、旅行医学、オーソモレキュラー栄養療法、産業医学

からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱくの食事の大切さを、自ら栄養指導をおこなう。分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、からだの細胞を活性化させる治療法を取り入れている。

野菜ソムリエの知識を生かし、栄養素が効率良く摂れる食べ合わせを意識したレシピを考案。美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。

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