手首に痛みがあり、腱鞘炎を疑っている方もいるでしょう。腱鞘炎は手首や指の使い過ぎによって起こる炎症です。手首が痛いと日常生活にも支障をきたす可能性があるため、早めに対処しましょう。本記事では、腱鞘炎のチェックリストと対処法を紹介します。
手首が痛いのは腱鞘炎?まずはセルフチェック
そもそも腱鞘炎とは、骨と筋肉をつないでいる腱が滑らかに動くように支えている組織(腱鞘)が、腱と繰り返しこすれることによって炎症を起こした状態を指します。
まずはご自身の手首の痛みに、以下の項目が当てはまるかをセルフチェックしてみましょう。当てはまるものが多ければ多いほど、腱鞘炎の可能性があります。
- パソコン作業が多い
- 文字をたくさん書く
- スマホを長時間使う
- 手首に負担がかかりやすい仕事やスポーツをしている
- 楽器の練習や演奏をする機会が多い
- 更年期以降の女性
- 妊娠・出産期の女性
- 糖尿病がある
- 人工透析を受けている
- 関節リウマチがある
腱鞘炎の種類と症状
手首にはさまざまな腱が存在しています。腱鞘炎とひとくくりにされてしまうこともありますが、実際は炎症が起こった腱によって病名は異なります。今回は、とくによく見られる2つの腱鞘炎「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」と「ばね指」の病態について詳しく解説します。
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
女性ホルモンの変化や親指の使い過ぎで起きる腱鞘炎です。前者の場合、とくに初産の妊娠・授乳期、更年期の女性に多く見られます。片手の親指のみでスマートフォンを操作している人にも発症しやすいため、近年は「スマホ腱鞘炎」と呼ばれることがあります。
ドケルバン病は、手首の親指側に強い痛みや腫れを生じることが特徴です。医療機関では、親指を握りこんだ状態で手首を小指側に曲げた際に、手首の親指側に痛みが増すかを見るテスト(フィンケルシュタインテスト変法)を行って症状を確認します。
ばね指
手首ではなく、指の付け根に痛みや腫れが生じている場合は、ばね指が疑われます。指を曲げる屈筋腱と、腱の浮き上がりをおさえる腱鞘の間で炎症が起こる腱鞘炎です。症状が進行すると腱が腫れて肥大化し、指の曲げ伸ばしの時にばねのような引っかかりが生じることから、ばね指と呼ばれています。
手首の痛みは腱鞘炎以外の可能性も
手首が痛いからといって、必ずしも腱鞘炎とは言い切れません。次のような病気でも、手首に痛みが現れるケースがあります。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
転倒時に手をついた時に発生しやすい骨折です。手首を形成する橈骨(とうこつ)の端の方が折れ、手首に強い痛みと腫れを生じます。
キーンベック病
キーンベック病は、手首の中央あたりに存在する月状骨(げつじょうこつ)がつぶれてしまう病気です。月状骨の周囲は血行が乏しいため、血行不良から壊死を起こすケースもあります。手を使った後の手首の痛みや腫れが特徴的な症状ですが、握力が低下したり、手首の動きが制限されたりする症状なども見られます。
TFCC損傷
TFCCとは、手の小指側にある三角線維軟骨複合体(さんかくせんいなんこつふくごうたい)のことです。けがや加齢、繰り返しの負荷などの原因により、このTFCCという組織が損傷されると痛みが生じます。
ガングリオン
ガングリオンは、通常手の甲側に見られるゼリー状のしこりです。ガングリオンの硬さや大きさは人それぞれですが、神経を圧迫すると手首あたりに痛みやしびれを感じる場合があります。
その他、関節リウマチなどの疾患により、関節が破壊されて痛みが生じている可能性もあります。手首の痛みがなかなか改善しない場合や、他の症状を併発している場合などは、整形外科を受診してください。
腱鞘炎の対処法
腱鞘炎が疑われる場合は、患部を安静にすることが第一です。どうしても仕事や家事の都合で安静にするのが難しい場合は、サポーターなどを活用して手首の動きを支えると負荷を軽減できます。
痛みが強い場合は、市販薬の使用も検討しましょう。鎮痛剤の内服、患部に貼る湿布や直接塗るタイプの外用薬も痛みの緩和に役立ちます。いずれも用法用量を守ってお使いください。また、妊娠中の方や持病のある方は医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
痛みが和らいだら、腱鞘炎の再発予防に努めましょう。とくにドケルバン病は、赤ちゃんの抱っこや片手でのスマホ使用などが原因のひとつといわれています。日常生活の思わぬところで手首に負担をかけすぎていないかを改めて見直し、抱っこ紐を取り入れたり、スマホの持ち方を工夫したりすることも大切です。
もしも手首の痛みが2週間以上続いている場合、また市販薬の使用後も改善が見られない場合は、速やかに整形外科などの医療機関を受診しましょう。
手首や指の使い方を工夫して腱鞘炎を予防しよう
日常生活にも支障をきたす腱鞘炎は、多くの場合、手首や指の使い過ぎが原因です。とくに抱っこが必要な小さい子どものいる人や、パソコンやスマホを長時間使う人は要注意!日頃の生活を見直し、腱鞘炎の予防に努めましょう。
「手首が痛いのは腱鞘炎?すぐにできるセルフチェックと対処法を紹介」をシェアしませんか?