【医師監修】貧血によい食べ物は?予防・対策におすすめのメニューも紹介します

【医師監修】貧血によい食べ物は?予防・対策におすすめのメニューも紹介します

体に様々な不調を引き起こす貧血。体がだるい、疲れやすいといった不調の原因は貧血かもしれません。本記事では貧血の原因を解説し、貧血の予防・対策に役立つ食べ物を紹介します。

  • 貧血とは?
  • 貧血の改善に役立つ食材
    • ヘム鉄を多く含む食材
    • 非ヘム鉄を多く含む食材
    • 鉄分の吸収をサポートする食材
    • 葉酸を多く含む食材
    • 貧血の改善・予防におすすめのメニューは?
  • 貧血予防・対策で注意すべき食材
  • 貧血に関するよくある質問
    • 女性のライフステージと貧血の関係
    • 食事以外で鉄分を摂る方法は?
  • 上手に鉄分を摂って、貧血を予防・改善しよう!

貧血とは?

貧血とは?

貧血とは、血液中のヘモグロビン(赤血球の構成要素のひとつ)の濃度が低下し、組織に十分な酸素量を届けられなくなった状態のことです。貧血になると、頭痛や息切れ、疲れやすいなどの症状が現れやすくなります。

原因によって、貧血はいくつかの種類に分けられます※。その中でも最も多いのが「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる貧血です。食事によって摂取する鉄分と、体から失われる鉄分の量が釣り合っていれば鉄欠乏性貧血の状態になることはまれです。しかし、鉄分の需要増加(思春期、妊娠中、授乳中の女性)、鉄分の摂取不足や吸収不足、鉄分の喪失(月経や消化管出血など)で体内の鉄分が不足すると、貧血状態に陥ってしまいます。

※「鉄欠乏性貧血」以外には、赤血球を合成するために必要なビタミンB12や葉酸の欠乏によって起こるものや、血液中の赤血球が破壊される(溶血)によるものなどがあります。

貧血状態が慢性的に続くと、爪が反り返る「さじ状爪」や舌が痛む舌炎、食べ物が飲みこみにくくなる嚥下障害などの症状が出ることもあります。

貧血の改善に役立つ食材

貧血の改善に役立つ食材

貧血の改善には、毎日の食事で必要な栄養素をバランスよくとることが大切です。加えて、鉄分を多く含む食材を積極的に取り入れるのが良いとされています。

鉄分の1日あたりの食事摂取推奨量は成人男性で7.0~7.5mg、成人女性(月経あり、妊娠・授乳なし)で10.5~11.0mg※です。
※厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

鉄分には吸収されやすいヘム鉄と、吸収されにくい非ヘム鉄の2種類があります。日本人が摂取している鉄分の割合は非ヘム鉄の方が多いという報告もありますが、貧血改善・予防のためには、ヘム鉄が豊富な食材を含む、バランスのよい食事を摂ることが大切です。

関連記事:【管理栄養士監修】理想のPFCバランスや食事とは?

ヘム鉄を多く含む食材

魚類や牛・豚・鶏などの肉類、レバーや卵黄、貝類などに多く含まれるのが、吸収されやすいヘム鉄です。

赤身魚や魚の血合い部分はヘム鉄を豊富に含んでいるため、食事に取り入れることで効率よく鉄分を摂取できます。ただし、マグロやカジキなどには微量ですが、胎児への影響が懸念される有害物質も含まれているため、妊活中や妊娠中の女性はできるだけ避けた方がよい※と言われています。

※平均的な食事で、体に害が及ぶ量の有害物質を摂る心配は少ないと考えられています。

食品(100gあたり)に含まれる鉄分量

  • 豚 スモークレバー 20.0 mg
  • 鶏 肝臓(レバー)生 9.0 mg
  • 鶏卵 卵黄 生 4.8 mg
  • あゆ 天然 内臓 生 24.0 mg
  • あさり 缶詰 水煮 30.0 mg

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

非ヘム鉄を多く含む食材

非ヘム鉄は、レンズ豆・小豆などの豆類、納豆などの大豆加工品、小松菜やほうれん草などの野菜、ひじきなどの海藻類に多く含まれます。ヘム鉄と比べて吸収率は劣りますが、一緒に食べる食材によっては吸収率を上げることもできます。

食品(可食部100gあたり)に含まれる鉄分量

  • 小松菜 葉 生 2.8 mg
  • ほうれん草 葉 通年平均 生 2.0 mg
  • 枝豆 ゆで 2.5 mg
  • レンズ豆 全粒 乾 1.3 mg
  • ほしひじき 鉄釜 乾 58.0 mg

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

鉄分の吸収をサポートする食材

鉄分の吸収をサポートする食材として、野菜や果物、牛乳などが挙げられます。

野菜や果物などに多く含まれるビタミンCやクエン酸は鉄の吸収率を上げることが知られている栄養素です。

牛乳やチーズなどの乳製品に含まれるタンパク質「カゼイン」は、消化の過程でCPPという物質に変わり、鉄分の吸収をサポートします。CPPはミネラルと結びつきやすい性質があり、カルシウムやマグネシウムだけでなく、鉄分の吸収率も高めるのです。また、タンパク質自体もヘモグロビンの材料となるので、積極的に摂ることをおすすめします。

葉酸を多く含む食材

正常な赤血球をつくるためには、葉酸も欠かせません。葉酸の一日の摂取推奨量は18歳以上の男女ともに240㎍(マイクログラム)です。妊活中や妊娠中の女性はさらに一日240㎍の追加摂取が推奨されています。

葉酸は植物の葉に多く含まれています。貧血予防のためには、小松菜やモロヘイヤなどの葉もの野菜、トマトやピーマンといった緑黄色野菜を意識して摂りましょう。葉酸は他にも、のりや昆布などの藻類、肉類、卵類、乳類、豆類などに多く含まれています。

貧血の改善・予防におすすめのメニューは?

貧血の改善・予防におすすめのメニューの一例を紹介します。

  • レバニラ炒め
  • あさりとほうれん草のパスタ
  • カツオのたたき
  • ひじきと大豆の煮物
  • クラムチャウダー

貧血改善のためには、ヘム鉄・非ヘム鉄を多く含む食材と、鉄分の吸収をサポートする食材を組み合わせてメニューを組み立てると良いでしょう。

貧血予防・対策で注意すべき食材

貧血予防・対策で注意すべき食材

貧血の改善・予防のために、鉄分を多く含む食材を積極的に摂っても、食べ合わせによっては吸収率を下げてしまうおそれがあります。貧血予防・対策で注意すべき食材の代表例を紹介します。

  • コーヒー、紅茶、煎茶など
  • 玄米
  • イモ類・ごぼう・キノコ類など

コーヒーや紅茶、煎茶などには、鉄の吸収率を下げる作用がある「タンニン」という物質が含まれています。コーヒーや紅茶をたくさん飲む習慣がある人は、食事前後の一杯を白湯などに変えてみてもいいかもしれません。

玄米に含まれるフィチン酸や、イモ類・ごぼう・キノコ類に含まれる非水溶性食物繊維は、鉄と一緒に摂ると吸収率が下がるおそれがあると言われています。過剰摂取でなければ、それほど気にする必要はありませんが貧血が気になる場合は食べ過ぎを控えましょう。

貧血に関するよくある質問

貧血に関するよくある質問

普段の食事で摂るべき栄養のほかにも、貧血予防のために知っておきたいことを紹介します。

女性のライフステージと貧血の関係

女性には月経があるため、男性よりも貧血になりやすいと言われています。ただし、ライフステージごとに貧血になる原因が変わるため、把握しておきましょう。

思春期は、摂取する鉄分の量よりも消費される量が多くなりやすいため、鉄欠乏性貧血が起きやすいと言われています。過度なダイエットや偏食なども、貧血の一因です。

20~40代は、月経による鉄欠乏性貧血のほか、婦人科系・消化器系などの病気で出血が持続して貧血になるおそれがあります。体に異変を感じたら早めに病院を受診しましょう。

妊娠中や授乳中は、赤ちゃんに栄養を与えなければならないため、栄養不足による貧血が起きやすくなります。妊娠期・授乳期用のサプリメントなどもあるため、気になる症状がある場合は医師に相談してみましょう。

閉経の近づく更年期では、月経周期や月経量に異常をきたすことがあります。月経の回数や出血量が増えると、貧血を起こしやすくなってしまいます。

閉経後、更年期以降の年齢では、加齢による造血機能の衰えや、がんなどの他の疾患による貧血が原因として目立つようになります。健康診断の数値などで不安がある場合は医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

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食事以外で鉄分を摂る方法は?

思春期や月経時、妊娠中や授乳中は、特に体内で鉄が不足しがちです。食事で補いきれない場合は、サプリメントなどの活用も検討しましょう。

粒状のものだけでなく、ドリンクタイプやゼリータイプのサプリメントも販売されています。自分に合ったサプリメントを見つけてみましょう。

上手に鉄分を摂って、貧血を予防・改善しよう!

ライフステージで原因は変わるものの、女性は男性に比べて鉄分が不足しやすく、貧血になりやすいと言われています。鉄分を意識してバランスよく食事を摂り、貧血を予防・改善しましょう。

貧血の原因は食事の鉄分不足だけではありませんので、気になる症状がある場合は一度医師に相談してみることをおすすめします。

監修者写真

監修者
福井 美典 先生
福井内科医院勤務
糖尿病内科、救急医療、総合内科、美容皮膚科、旅行医学、オーソモレキュラー栄養療法、産業医学

からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱくの食事の大切さを、自ら栄養指導をおこなう。分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、からだの細胞を活性化させる治療法を取り入れている。

野菜ソムリエの知識を生かし、栄養素が効率良く摂れる食べ合わせを意識したレシピを考案。美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。

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