【専門家監修】なぜかイライラする!考えられる原因は?解消と予防の方法も

【専門家監修】なぜかイライラする!考えられる原因は?解消と予防の方法も

「原因はわからないけれどなぜかイライラする」「前まで気にならなかったことに腹が立つ」と感じるのは、ストレスが溜まっているサインかもしれません。ストレスは蓄積していくと心身の不調につながることもあります。

今回はイライラする理由や原因、イライラすることによって生じる悪影響や解消法、予防法を解説します。

  • 「イライラする」と感じるメカニズム
  • イライラする原因は?
    • ストレスの増加
    • 健康状態の変化
  • イライラが与える悪影響
  • 今日から実践できる!イライラの解消法
    • 心身ともにリラックス
    • 食生活の改善
    • 十分な睡眠
    • イライラする原因にとらわれすぎない
  • イライラするのを防ぐには?
    • 考え方を変える
    • 生活習慣の改善
    • できるだけ笑う
  • イライラするのが続いて心身の不調が見られたら医療機関の受診を

「イライラする」と感じるメカニズム

「イライラする」と感じるメカニズム

いつもは穏やかに過ごしていても、イライラすると衝動的になり人や物に怒りをぶつけてしまいがちです。まずは「イライラ」がどんな状態を指すのか、なぜ起こるのかを見ていきましょう。

ストレスなどを受けると、臓器や器官の働きをコントロールする自律神経のうち交感神経が優位になり、心拍数の増加や血圧の上昇といった反応が起こります。この反応には脳下垂体から分泌される「副腎皮質刺激ホルモン」やその働きで副腎から分泌されるコルチゾールのほか、腎臓で分泌されるレニン、副腎髄質から産出されるアドレナリンなど複数のホルモンが関係しています。

強いストレスを繰り返し受け、交感神経優位の状態が続くと、これらのホルモンを制御しきれなくなり、心身の興奮が続くことに。これにより思考力や、感情・衝動の抑制力が低下し、怒りっぽくなってしまった状態が「イライラ」の正体です。

イライラの要因としてはほかにも、精神を安定させる神経伝達物質セロトニンが不足することで、脳を興奮させる神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンの分泌を制御できず、自制心を保ちにくくなることが挙げられます。

イライラする原因は?

イライラする原因は?

イライラする原因は主に日常で重なるストレスの増加と健康状態の変化の2つがあります。

ストレスの増加

人間関係の悪化や、仕事や家事の負担増、金銭トラブルなど日常には様々なストレス要因があります。普段はうまく対処できていても、複数の悩みが同時に重なると手に負えなくなってしまうことも。

過去の嫌な経験などを想起させる状況に直面して、急にストレスを感じることもあれば、音や匂いなどの環境のストレスがじわじわ積み重なり、許容できる範囲を超えてしまうこともあります。

健康状態の変化

疲労や怪我などが原因で自身の体を思い通りにコントロールできないこともストレスの一因になります。女性の場合は女性ホルモンの影響も考えられるでしょう。日本女性心身医学会の情報からも生理周期や更年期障害、妊娠中などの期間には、女性ホルモンのバランスが崩れることによってイライラする可能性があると考えられています。

上記のほか、気分障害や統合失調症などの精神的な疾患がもとで、イライラしてしまうケースもあります。

イライラが与える悪影響

ストレスを感じて交感神経優位の状態が続くと、心身に次のような悪影響が及びます。

慢性的な自律神経の乱れ ストレスを受け続けると、自律神経失調症になり血行不良や胃腸障害、不眠や立ちくらみ、めまいなどの体の症状が起きることも考えられます。
食欲不振 消化、吸収を促進する副交感神経の働きが抑えられることで、食欲が起こりにくくなります。
不眠 寝つきにくい、眠りが浅いなどの不眠の症状が現れる恐れがあります。睡眠不足と生活習慣病は強い結びつきがあり、慢性的に不眠がある人は狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患にかかりやすいことがわかっています。
うつなど心の病気 一日中気分が落ち込んで眠れない、疲れやすいなどの症状がみられる「うつ病」などのこころの病気を発病するリスクもあります。

このように、心身の調子は相互に作用しています。イライラする原因や状況に早めに対処することが健康を維持する鍵となるでしょう。うつや慢性不眠に至ってしまうとセルフケアで治すことが難しいため、医療機関の受診が必要です。

今日から実践できる!イライラの解消法

今日から実践できる!イライラの解消法

気軽に実践できるイライラの解消法にはどんなものがあるでしょうか。イライラする出来事が続いている人は、ぜひ生活の中に下記を取り入れてみてください。

心身ともにリラックス

イライラしている時、自律神経の働きは交感神経が優位になっており、心も体も緊張状態にあります。交感神経を刺激しないためには、心身ともにリラックスすることが重要です。

簡単な体操・ストレッチ

簡単な体操・ストレッチで筋肉をほぐしましょう。無意識に続いている心の緊張も和らぎ、リフレッシュできます。

体の部位 方法
肩を上げて少し上げたまま止めたあと、息を吐きながら肩をストンと落として楽にする
背中 両手を組んで体が丸くなるようにおへそを覗き見るようにしながら、両手を前に伸ばす
椅子に座った姿勢で、腰を伸ばしたまま背もたれを掴んで体を後ろにひねる
首や肩の力を抜いて首をゆっくり時計回り、反時計回りに回す
上半身 両手を組んで、手のひらを天井に向けながら胸を張りつつ上に伸ばす

セルフマッサージで体をほぐす

ツボ押しやセルフマッサージも体をほぐすのに適切な方法です。

親指以外の四指で頭をつかみ、親指で首筋を押すようにマッサージすることで、首筋や肩の緊張がほぐれます。また万能のツボと呼ばれている、親指と人さし指の間の「合谷(ごうこく)」というツボを押すのもおすすめです。

合谷のツボ

腹式呼吸を繰り返す

不安を感じたり緊張していたりする時は、腹式呼吸を繰り返してみるのもよいです。

座って呼吸にともなう腹部の動き(体の感覚)に意識を集中させ、膨らんだり縮んだりする腹部の動きをしっかり実感しながら、「膨らんでいる」「縮んでいる」などと心の中で唱えましょう。

呼吸は精神状態に影響を与えると考えられており、心理学における「マインドフルネス」いう考え方でも重要とされています。呼吸にともなう腹部の動きへ意識を集中させることには、不安やイライラなど様々な感情から意識をそらし、現実に起きていることだけを冷静に受け入れる目的もあります。

食生活の改善

食事で摂る栄養は、体を動かすことだけでなく神経の働きを正常に保つためにも使われています。栄養が不足すると気持ちも不安定になりやすいため、バランスのよい食生活を心がけることが大切です。忙しくても、1日3食をきちんととりましょう。

神経の働きを正常に保つためには、カルシウムやビタミンなどの栄養が欠かせません。朝食にフルーツを取り入れる、昼食のお弁当にサラダをプラスするなどで栄養バランスを意識してみてください。

食事がどうしても不規則になってしまう場合は、サプリメントなどで補うことも選択肢のひとつです。

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十分な睡眠

心身の疲れをとるには質のよい睡眠が不可欠です。寝る直前までスマホやパソコンを見たり、寝酒をしたりしないようにしましょう。室内の温度や湿度、照明などを調整し、睡眠環境を快適に保つことも試してみましょう。

イライラする原因にとらわれすぎない

ストレスの原因を意識しすぎると、どんどん悪い方向に考えてしまい、さらにストレスを増加させてしまう恐れがあります。原因を考え続けないためにも、ストレス源から離れることも大切です。

イライラするのを防ぐには?

イライラするのを防ぐには?

下記はイライラするのを防ぐ方法の一例です。無理なくできることから試してみませんか?

考え方を変える

まずは自分の尺度だけで物事を考えず、物事に対するものさしが自分と他人で違うことを理解しましょう。他人の考え方に対して「こういう考え方もある」という受け取り方をすることで、他人の考えと自分の考えが対立してもイライラせずに済みます。

ただし自分の考え方の軸を自覚していないと、他人に振り回されてしまうことがあるので注意しましょう。

生活習慣の改善

生活習慣の乱れは自律神経の乱れを招き、イライラにも繋がります。日ごろから食事や睡眠に気を遣い、適度な運動を取り入れましょう。通勤、帰宅の際に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなどが気軽でおすすめです。

また、ストレスを発散するためにはリフレッシュも大切です。「自分の好きなことをする時間」も意識的に作ってみましょう。

できるだけ笑う

心の余裕がなくなると以前までは笑えていた場面でも、笑えなくなる場面が増えていきます。笑えなくなるのはストレスのサインとしてわかりやすいでしょう。

笑いは自律神経のバランスを整え、免疫細胞を活性化することが研究で明らかになっています。さらに大笑いには深呼吸と同じく、体内の二酸化炭素を排出する効果もあるとされており、深呼吸と同様に副交感神経を刺激して交感神経が優位になっている体をリラックスさせる働きが期待できるでしょう。

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イライラするのが続いて心身の不調が見られたら医療機関の受診を

イライラが続いている人は、紹介した解消法、予防策を参考に、生活習慣や考え方を変えてみましょう。

もし、イライラがひどく、なかなか治まらなかったり、心身の不調を感じたりしている場合には何らかの疾患の可能性もあります。心身の不調は早く対処することで早期回復が期待できるので、ためらわずに医療機関を受診しましょう。

監修者写真

監修者
鬼頭 怜那
(正看護師・産業心理カウンセラー)

小児科総合病院の産科に就職。障害を持って生まれる胎児を身篭る母体の管理の病棟で半年勤務。翌年2年半精神科病棟の急性期、慢性期で勤務。さまざまな精神疾患の患者の看護や薬理病理の勉強、身体疾患の患者も多く全身管理も行う。
その後精神科特化の訪問看護ステーションにて勤務。地域で生きる精神科疾患の患者の看護と地域連携、他職種連携を行う。

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