【医師監修】つらい頭痛の原因と対処法。痛みの違いやセルフケアのポイントを解説

【医師監修】つらい頭痛の原因と対処法。痛みの違いやセルフケアのポイントを解説

様々な刺激がきっかけとなり起こる頭痛。病気や外傷など思い当たる原因がないにもかかわらず、日常的に頭痛に悩まされている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、頭痛が起こるタイミングや痛みの違いによる頭痛の原因について解説するとともに、頭痛とうまく付き合っていくための対処法を紹介します。

  • 頭痛の原因は?タイミングや症状でセルフチェック
    • 頭がズキズキ痛む片頭痛(血管性頭痛)
    • 締め付けられるように痛む緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)
    • 頭の片側が痛む三叉(さんさ)神経・自律神経性頭痛
    • 目の周囲、こめかみ付近が痛む群発頭痛
  • 頭痛の対処法、予防のポイント
    • 片頭痛
    • 緊張型頭痛
    • 三叉神経・自律神経性頭痛、群発頭痛の対処法
  • 市販薬などによるセルフケアのポイント
  • いつもの頭痛と違うと感じたら医療機関の受診を
  • 正しい対処法を知って、頭痛とうまく付き合おう

頭痛の原因は?タイミングや症状でセルフチェック

頭痛の原因は?タイミングや症状でセルフチェック

頭痛の原因は千差万別です。まずは、頭痛の起きる時間帯やその時の体勢、痛みの種類、持続時間、併発する症状などを思い出して、自分の頭痛がどれに近いかをチェックしてみましょう。

ここでは脳疾患や感染症など、ほかの疾患に原因がある「二次性頭痛」とは異なり、ほかの疾患が認められない「一次性頭痛」に分類される片頭痛、緊張型頭痛、三叉(さんさ)神経・自律神経性頭痛、群発頭痛についてみていきます。

頭がズキズキ痛む片頭痛(血管性頭痛)

片頭痛(血管性頭痛)は、頭の片側、または両側がズキズキと脈打つように痛むのが特徴です。発作的に起こり、持続時間は4~72時間程度と幅が広く、長く続くと日常生活に支障をきたします。頭痛を感じている間はほかの感覚も過敏になり、いつもは気にならないような光・音・においなどを不快だと感じることも。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

片頭痛は脳の視床下部が何らかの刺激を受けることで起こると考えられています。ただし、そのきっかけはストレスや運動など、人によって様々です。アルコールの摂取や気圧の変化により、血管が拡張して片頭痛が起きることもあります。女性の場合はホルモンバランスの変動により、周期的に片頭痛を繰り返すことも。月経のタイミングで頭痛を訴える人も多くいます。

また、片頭痛は前兆があるケースもあります。前兆とされる症状の中で最も多いのは、視界にキラキラ、またはギザギザした光が出現し、ものが見えにくくなる視覚的症状です。ほかにも感覚の鈍化や、言葉が出にくくなるなどの症状もあります。

締め付けられるように痛む緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)

緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)は、一次性頭痛の中で、日本では最も多く見られる頭痛です。

後頭部やこめかみ、額などを中心に、頭重感(ずじゅうかん)や圧迫感が生じたり、じわじわと締め付けられるように痛みが発生したりすることが特徴とされています。片頭痛とは異なり、脈打つような痛みはなく、吐き気や嘔吐などの症状は伴いません。

頭皮や首、肩、顎などの筋肉の緊張が主な原因で、長時間のパソコン使用や無理な姿勢の維持以外に、歯のかみ合わせの悪さが引き金となることも。ストレスや睡眠不足、不安などでも引き起こされることがあります。また、目の疲れや倦怠感・疲労感、肩こりなどの症状とともに頭痛を感じる場合もあるようです。

頭の片側が痛む三叉(さんさ)神経・自律神経性頭痛

三叉神経は顔が得た感覚(触覚や痛覚など)を脳に伝える神経で、目の周りに分布する眼神経、頬のあたりを領域とする上顎神経、口から下のあたりをカバーする下顎神経というように三つに分岐しています。

三叉神経・自律神経性頭痛では、三叉神経の分布する部分(目の奥や顔面)の片側だけに激しい痛みが生じると同時に、同じ側の目や鼻に自律神経症状があらわれます。

三叉神経・自律神経性頭痛における自律神経症状とは、目の充血や流涙、鼻水・鼻づまり、発汗、眼瞼下垂(がんけんかすい・まぶたが下がる症状)などです。ひとつだけでなく、複数の症状が同時に起きる場合も。

頭痛の発生するメカニズムは明確にはわかっていませんが、三叉神経の過剰な興奮により痛みが発生するとともに、副交感神経が活性化して自律神経症状を起こす説、目の奥にある内頚(ないけい)動脈の拡張による説などが考えられています。

目の周囲、こめかみ付近が痛む群発頭痛

左右どちらかの目の周りから、前頭部~側頭部にかけて、激しい痛みが生じる頭痛です。また、痛む方の目の充血や涙、鼻水・鼻づまり、まぶたが腫れたり下がったりするなどの自律神経症状も同時にあらわれるのが特徴です。

痛み発作は数日~数ヵ月にわたり、1日に2~8回程度繰り返し起こります。20~40代の男性に多く、頭痛発作は睡眠中に起こることが多いようです。また、アルコールの摂取や喫煙などで誘発されることも。三叉神経・自律神経性頭痛とメカニズムが似ていると考えられているため、三叉神経・自律神経性頭痛に分類されています。

頭痛の対処法、予防のポイント

頭痛の対処法、予防のポイント

頭痛を感じた時にはどのような対処が望ましいのでしょうか。頭痛の種類別に、予防法もあわせて紹介します。

片頭痛

痛む時の対処法

片頭痛による痛みを感じたら、静かな暗い場所でしばらく休みましょう。片頭痛の発作時は、視覚・聴覚なども過敏になっていることがあり、光や音によって痛みが悪化する恐れがあるためです。

また、冷たいタオルなどを痛む部分に当てるのもおすすめです。拡張した血管を冷やして、収縮させることで痛みの軽減が期待できます。

片頭痛の対処としてはこれらのセルフケアのほか、市販の頭痛薬の服用や、医師の診断に基づく薬物治療などが有効です。

予防・日頃の過ごし方

寝不足や疲労、空腹など、体へのストレスはもちろん、不安などの精神的なストレスも片頭痛の原因と言われています。定期的にストレスを発散することが、片頭痛の予防に繋がります。

また、片頭痛が起きたタイミングや状況を記録しておくことで、原因をある程度特定することも可能です。片頭痛を誘発するタイミングや環境などがわかったら、それに近い環境をできるだけ避けて、片頭痛の発生を予防しましょう。

緊張型頭痛

痛む時の対処法

緊張型頭痛の多くは、頭から背中にかけての筋肉の緊張によって引き起こされます。そのため、発生した際は蒸しタオルや半身浴などで首や肩の筋肉を温めましょう。マッサージで筋肉のこりをほぐすのもおすすめです。

また、首や肩の筋肉の緊張をやわらげるストレッチも有効です。

  • 両肩を引き上げて数秒保ち、その後一気に脱力する
  • 首を左右にゆっくり倒す
  • 上着を着脱するように肩を開き、前後方向に肩・腕を回す

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予防・日頃の過ごし方

正しい姿勢を心がけることが第一です。また、長時間同じ姿勢でいることは避け、適度な休憩をとりましょう。日頃から適度な運動をすることも大切です。

寝る時の姿勢にも注意が必要。高すぎる枕や柔らかい枕は、首や肩に負担をかけてしまう恐れもあります。寝起きに頭痛が起きる場合は、寝具にも気を配ってみましょう。

三叉神経・自律神経性頭痛、群発頭痛の対処法

三叉神経・自律神経性頭痛および群発頭痛の具体的なメカニズムは、まだわかっていません。しかし、三叉神経の過剰な興奮、目の奥にある内頚動脈の拡張などが関係していると言われています。

激しい頭痛発作がある場合はすみやかに脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。群発頭痛の場合、薬剤の皮下注射や高濃度酸素の吸入などの治療で痛みを軽減できます。

市販薬などによるセルフケアのポイント

市販薬などによるセルフケアのポイント

軽度な頭痛ならば、市販の鎮痛薬で痛みを抑えることも期待できます。イブプロフェン、ロキソプロフェン、アセトアミノフェンなど、様々な成分の鎮痛薬があります。ただし、それぞれ特徴や副作用が異なるため、必ず薬剤師に相談しましょう。

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鎮痛薬を服用すれば頭痛を一時的に抑えることができますが、鎮痛薬はあくまでも痛みに対しての対症療法であり、根本的な治療にはなりません。頭痛を予防するためには、生活習慣の改善に取り組み、頭痛のきっかけとなる行動を避けることが重要と言えます。

鎮痛薬を飲んでも痛みが引かない場合や、頭痛が頻繁に発生する場合は、医療機関で精密検査を受けることをおすすめします。

いつもの頭痛と違うと感じたら医療機関の受診を

いつもの頭痛と違うと感じたら医療機関の受診を

頭痛はストレスや疲れ、軽い風邪などでも起こる日常的な症状ですが、中にはほかの病気が原因となっていることもあります。

「突然頭痛が起きて、どんどん悪化する」「頭痛以外にも目や手足に異常がある」といった場合は、脳梗塞や脳腫瘍、くも膜下出血などの脳疾患、髄膜炎などの感染症による「二次性頭痛」のおそれもあります。また、頭や首に外傷を負った後の頭痛は、硬膜下または硬膜外血腫、脳挫傷、頸椎捻挫から生じている可能性も。

普段と違う頭痛を感じたら、すみやかに医療機関を受診しましょう。

正しい対処法を知って、頭痛とうまく付き合おう

一過性の痛みだからといって、頭痛を我慢するのはよくありません。痛みを感じたら、安静にする、市販の鎮痛薬を適切に服用するなど頭痛の症状に合わせた対処をしましょう。

セルフケアでは、寝不足や疲労といった体のストレス、不安や緊張などの心のストレスを解消し、頭痛を引き起こす環境をなるべく避けることも大切です。もし具体的なきっかけがわからない場合や頻繁に頭痛を繰り返す場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

監修者写真

監修者
福井 美典 医師
(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)

からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高タンパクの食事の大切さを、自ら栄養指導をおこなう。分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、からだの細胞を活性化させる治療法を取り入れている。
野菜ソムリエの知識を生かし、栄養素が効率良く摂れる食べ合わせを意識したレシピを考案。美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。

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