肩こりに悩む人は血流が原因かも? 食事から考える生活改善とオススメの栄養素も紹介!

肩こりに悩む人は血流が原因かも? 食事から考える生活改善とオススメの栄養素も紹介!

日本人の多くが抱える症状「肩こり」。
厚生労働省が発表した『2019年 国民生活基礎調査(P17)』における「性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)」で、女性の1位と男性の2位にあげられたのが肩こりです。有訴者率とは、人口1,000人あたりの病気やけがなどで自覚症状のある人の割合になります。
なぜ日本人はこれほど肩こりの症状を抱えている人が多いのでしょうか。実は、日頃の食事や生活スタイルが原因になっている可能性があります。

今回は、肩こりの原因について触れながら、肩こり解消にオススメの食事や栄養素について解説していきます。

  • なぜ肩がこる? 考えられる原因
    • 【原因1】体の冷え
    • 【原因2】目の酷使
    • 【原因3】姿勢の悪さ
    • 【原因4】運動不足
    • 【原因5】食生活の乱れ
  • 肩こりを軽減。取り入れたい栄養素とは
    • ビタミンB1:糖質の代謝を助ける
    • ビタミンE:血液の流れを良くする
    • クエン酸:筋肉疲労を軽減する
  • 毎日の食生活を意識! 効率的な摂取のヒント
    • ヒント1:塩を変える
    • ヒント2:朝のフルーツ
    • ヒント3:ビタミン・ミネラルを多く含むサプリを選ぶ
  • 肩こりには体の内側からアプローチしてみましょう
 

なぜ肩がこる? 考えられる原因

肩こりの原因は、一般的に「血行不良」により首から肩にかけて「筋肉がこる」ことで痛みの症状が出るとされています。

血行不良は主に筋肉の緊張やこわばりが血管を圧迫している状態です。

肩こりの根本的な原因となる、この血行不良が起こる原因は大きく分けて以下の5つに分類されます。

【原因1】体の冷え

冬場は外気温が低くなり、体温を維持しようと血管が収縮して血液の通り道が狭くなることで、血液は流れにくくなります。夏場は冷房の効きすぎた部屋に長時間いることで、同様の現象が起きます。

年間を通して体が冷えると、慢性的な冷え性となり血行不良が続き、肩こりにもつながりやすくなります。

【原因2】目の酷使

デスクワーク、日常的なスマートフォンの操作などによる目の酷使も、肩こりの原因の一つです。目を酷使し、目の筋肉が緊張した状態が続くと血管を圧迫し血行不良を引き起こします。目の周りの筋肉の硬直は、やがて神経を介して肩の筋肉にも影響を与え、肩こりにつながってしまうのです。

目の酷使によって、目の痛みやかすみといった症状のほか、肩こり・頭痛など体にも症状が出ている場合は「眼精疲労」の可能性もあります。眼精疲労については、以下の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:目の疲れが気になる人必見! 眼精疲労の原因と対策法を紹介

【原因3】姿勢の悪さ

スマートフォンやパソコンを使用する際に、首を少し前に突き出す姿勢になったり、両肩を少し前にすぼめる姿勢になったりすると、首から肩の筋肉が硬直し血液の流れが悪くなることで、肩こりを起こしやすくなります。

【原因4】運動不足

新型コロナウイルスの影響で、テレワークの推進や外出自粛が増えたことで、運動不足に悩む人は増えているのではないでしょうか。

運動不足は筋肉の衰弱だけでなく、使わない筋肉の硬直にもつながり、血行不良を起こし、肩こりの原因となります

また、運動不足は筋肉への影響だけでなく、ストレスにも影響します。ストレスを感じることで、血液の循環をコントロールする役割をもつ自律神経が乱れやすくなります。この結果、血液の循環が悪くなり、血行不良となり肩こりにつながります。

【原因5】食生活の乱れ

血液の流れが悪くなる原因として、「食生活の乱れ」が大きく影響します。

簡易的に食事を済まそうとファーストフードや菓子パン、お菓子だけで済ませるなど偏った食生活を送ると脂質や糖質を摂る機会が増えます。

脂質や糖質に偏った食生活を続けていると、血液の流れが悪くなっていきます。そして血行不良になると、全身に酸素や栄養を行き渡らせる働きが弱まり、代謝の低下を引き起こします。結果、身体に老廃物が溜まりやすくなり、肩こりなど身体に影響があらわれます。

肩こりを軽減。取り入れたい栄養素とは

肩こりを軽減。取り入れたい栄養素とは

肩こりの解消法として、マッサージやストレッチなど外的なアプローチもありますが、体の内側からのアプローチも大切です。肩こりの要因となる筋肉疲労・血行不良を解消するために、取り入れたい具体的な栄養素とその働き、含まれる食材を紹介します。

ビタミンB1:糖質の代謝を助ける

肩こりは様々な原因から肩周辺の筋肉が硬直し、疲労を起こしています。この筋肉疲労の回復を助ける栄養素がビタミンB群です。その中でも、糖質からエネルギーを産生する上で重要な役割を担うビタミンB1の摂取が重要です。ビタミンB1が不足するとエネルギーを産生しづらくなり、筋肉疲労へとつながります。また、ブドウ糖などの糖質が代謝・分解される際に生成される乳酸が体内に蓄積されやすくなります。

【ビタミンB1を多く含む食べ物】
豚肉、玄米、大豆、枝豆など

ビタミンE:血液の流れを良くする

ビタミンEは毛細血管を広げて血液の流れを良くする働きがあり血行不良の軽減には大切な栄養素です。末端の血管まで血液がめぐることで、酸素や栄養素がまわり、筋肉疲労を和らげます。

【ビタミンEを多く含む食べ物】
アーモンド、ヘーゼルナッツ、落花生、モロヘイヤ、かぼちゃ、ほうれん草、大豆など

クエン酸:筋肉疲労を軽減する

クエン酸は、筋肉の疲労物質の分解や新陳代謝の活発化を助けます。クエン酸の働きにより、疲労感軽減なども期待されます。

【クエン酸を多く含む食べ物】
梅干し、酢、レモン、夏みかん、グレープフルーツなど

毎日の食生活を意識! 効率的な摂取のヒント

毎日の食生活を意識! 効率的な摂取のヒント

肩こりの主な原因は「血行不良」とお伝えしました。血行不良が起こるには「冷え」や「目の酷使」「運動不足」といった原因があげられますが、取り組みやすいのは食生活の改善です。
ちょっとした心がけで、毎日の食生活に肩こり解消のヒントを取り入れ、体の内側から整えましょう。普段の食事に+αで出来る簡単なヒントを紹介します。

ヒント1:塩を変える

食事の味付けに欠かせない塩には、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれ、スーパーなどでも様々な種類が販売されています。

塩は大きく岩塩と海塩に分けられます。岩塩は海水の水分が蒸発し塩化ナトリウム(塩分)等が結晶化したものです。一方、海塩は海水から製したもので、天日干しや煮詰めるなど様々な製造方法があります。

岩塩は海塩よりもナトリウムを豊富に含みますが、海塩はナトリウムのほか、カリウムやマグネシウムなどをバランスよく含み、ミネラルを意識する際は海塩の使用をおすすめします。

そのほか、塩と粉末にした海藻を調合した「藻塩(もしお)」は海藻のミネラルが加わることで、マグネシウムが豊富です。

ヒント2:朝のフルーツ

朝にレモンやグレープフルーツなどでクエン酸を摂り入れると、日中の活動中に溜まる疲労物質のスムーズな処理が期待されます。

たとえデスクワークでも、同じ姿勢をとり続けたり、タイピングを繰り返したりすると、疲労物質は徐々に蓄積されていきます。その結果、夕方以降に肩こりが起こりやすくなります。肩こりは時間を問わず起こり得る症状ですが、とくにクエン酸が豊富な柑橘類を朝に摂ることで、夕方以降の肩こり予防が期待できるでしょう。

ヒント3:ビタミン・ミネラルを多く含むサプリを選ぶ

「令和元年国民健康・栄養調査」「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、各種ビタミン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛の摂取不足が確認され、多くの日本人はビタミン・ミネラル不足と考えられます。

ビタミン・ミネラルは、普段の食生活「主食・主菜・副菜」を基本に摂取することが大切ですが、忙しい時期や食事まで手が回らない時などは、不足を補う際の手段としてサプリメントや、ビタミン剤の活用もおすすめです。

 

肩こりには体の内側からアプローチしてみましょう

肩こりは、単に筋肉の硬直だけでなく、その根本には血行不良が影響しています。
日ごろの冷えや運動不足などが積み重なって血行不良をもたらし、肩こりの症状を起こしていきます。

近年ではスマートフォンやパソコンの画面操作によって目を酷使し、眼精疲労を発症するリスクが高まっていると考えられます。その他にも、度数が合っていない眼鏡やコンタクトレンズの使用、目の病気が原因など様々な要因が重なって眼精疲労へとつながります。

毎日の食事が体をつくっていくので、不足しがちな栄養素はサプリも頼りつつ、一つずつでもご紹介したポイントを意識した食生活を実践してみてはいかがでしょうか。

監修者写真

執筆者
小川沙織 管理栄養士

特定保健指導やアスリート向けの栄養指導、社員食堂や保育園の給食監修、また栄養学などのセミナー講師も経験。
自分自身が生まれながら抱えていたアトピーなどのアレルギー体質を、食事で改善させた経験から、食と健康のつながりを1人でも多くの人に実感、体感して頂きたく、現在は栄養相談やセミナー、執筆などで様々な場所で活動中。そして家庭においては、1児の母として育児を日々奮闘中!

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