スマートフォンやパソコンの使い過ぎによる目の疲れ。
放置し悪化すると、目だけでなく心身に様々な不調を引き起こす「眼精疲労」を発症することがあります。
眼精疲労になると、頭痛や肩こり、吐き気などのほかイライラ感など精神的な不調にもつながり、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。
今回は、目の疲れが気になる人が注意すべき「眼精疲労」と対策法について詳しく解説します。
その目の疲れ「眼精疲労」かもしれません
目の疲れは日常生活の中でよくある症状のひとつです。目を休めることで改善する場合は、健康上大きな問題はありません。
しかし、十分な休息をとっても目の疲れが改善しない、はっきりした原因はないのに、目の疲れとともに心身の不調が長引くときは、眼精疲労かもしれません。
まずは、眼精疲労とはどのようなものなのか詳しく見てみましょう。
眼精疲労の定義とは?
眼精疲労とは、目の不調だけでなく体の不調も引き起こし、十分に休息をとっても回復しない状態をいいます。
ピントを調節する目の筋肉は自律神経によって支配されています。そのため、目を酷使し目の筋肉が疲弊すると、自律神経のバランスが乱れ、不調が全身におよぶと考えられています。
眼精疲労の症状とは?
眼精疲労の症状は大きく分けると、「目の症状」と「全身の症状」があります。
「目の症状」としては、以下のようなものがあげられます。
- 目の痛み
- 目が重い
- 目のかすみ
- 目の乾燥
- 充血
- まぶたのぴくつき
「全身の症状」としては以下のようなものがあげられます。
- 頭痛
- 肩や首のこり
- 吐き気
- めまい
- だるさ
- やる気のなさ
- イライラ感
目を使う作業をする機会が多く、思い当たる症状のある人は注意が必要です。
眼精疲労の原因とは?
眼精疲労は上述したように、目の使い過ぎによって目の筋肉が疲弊して生じます。では、具体的にどのようなことが眼精疲労を引き起こすのでしょうか? 詳しく見てみましょう。
【原因1】スマートフォンやパソコンの使用による目の酷使
物を見る際に、私たちの目には自動的にピントを調整する機能が備わっています。これは、目の中にある筋肉が縮んだり緩んだりしてレンズの役割を持つ水晶体の厚さを変え調整しているのです。
近くの物を見る際は、水晶体を厚くする必要があり、筋肉は縮み緊張します。この状態が続くと、筋肉が疲労し眼精疲労の原因につながります。
とくに近年では、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの普及にともない、プライベート・仕事に関わらず至近距離で目を酷使するシーンが従来よりも増え、眼精疲労を発症する可能性も高まっていると考えられます。
パソコンなどのディスプレイ(VDT:ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)を使用した長時間の作業により、目や体に影響の出る病気を総称し「VDT症候群」とも呼ばれています。
【原因2】眼鏡やコンタクトレンズが目に合っていない
同じ眼鏡やコンタクトレンズを使用していると、いつの間にか度数が合わなくなっていることがあります。度数が合っていない眼鏡やコンタクトレンズを使用し続けると、ピントを合わせるために目の周りの筋肉に余計な負担がかかり、眼精疲労につながります。
【原因3】ストレスによる血流の悪化
ストレスは自律神経のバランスを乱し、筋肉や血管の収縮を引き起こす要因となります。結果、目の筋肉が緊張しやすくなったり、血流が滞ったりすることで眼精疲労を引き起こすこともあります。
【原因4】目の病気
眼精疲労は、以下のような「物の見え方」に異常をきたす目の病気が原因となることもあります。放っておくと眼精疲労が悪化してしまうケースもあるので注意が必要です。
ドライアイ
ドライアイは、涙の不足が原因で目が乾燥し、目の表面に傷や障害が生じる病気です。症状には目の乾燥・疲れ・かすみ・不快感・見えにくさがあげられます。正常時よりも目の筋肉へ負担が増し、眼精疲労をともなう可能性が高まります。
白内障
白内障は、目の水晶体が白く濁っていく病気です。年齢を重ねると発症率が高まり、視力の低下や見えづらさ、眩しさを感じやすくなります。目の筋肉の緊張状態が続き、眼精疲労の原因となります。
緑内障
緑内障は、目の奥にある視神経に異常が生じて視野(目で見える範囲)が狭くなっていく病気です。緑内障も年齢を重ねるごとに発症率は高くなりますが、進行が緩やかなため症状に気付かないケースもあります。
視野が狭くなり、見えにくさを補う状態で必要以上に目を酷使するため、眼精疲労を起こしやすくなります。
屈折異常(近視、遠視、乱視、老眼など)
目のピント調節がうまくできなくなる近視・遠視・乱視・老眼などの屈折異常は、ピントを合わせるために目に大きな負担がかかります。そのため、屈折異常がない人よりも眼精疲労になるリスクは高まります。
これまで視力の低さを自覚したことのない人も、40歳代半ばころから老眼が進行し、知らない内に目を酷使してしまうケースは少なくありません。屈折異常は幅広い年代で起こりうる症状のため、何か違和感を感じた際には、眼科を受診することをおすすめします。
眼精疲労には多くの原因がありますが、その実態は様々な原因が絡み合って発症します。思い当たる人、違和感のある人は注意しましょう。
眼精疲労に備える。日頃からできる6つのこと
眼精疲労を予防するには、目を酷使しないことが一番です。特にスマートフォンやパソコンなどを使用する際には、作業方法や環境を工夫し、目を休めることが重要です。
では、そのためにどのような対処法や予防法があるのでしょうか。ここでは6つの方法を紹介します。
定期的に休憩時間を設ける
スマートフォンやパソコンで作業をするときは、1時間に1回15分の休憩時間を設けて画面から目を離すのが理想です。目の周りの筋肉の緊張をほぐすには、遠くの風景、奥行きや立体感があるものを眺めるのがポイントになります。
しかし、休憩を入れられずにパソコンを長時間使用する人も多いことでしょう。画面を見るときは、目からの距離を40㎝以上確保し、デュアルディスプレイを使用する場合は画面の高さや奥行きを合わせましょう。
目の周りを温める
目の疲れを感じたときは、目の周りを温めると緊張した筋肉が和らぎ、疲労の蓄積を防ぐことが期待されます。ドライアイ対策にもつながるため、様々な角度から眼精疲労の予防が期待されます。
度数の合った眼鏡やコンタクトレンズを使用する
目の疲れを抑えるには、度数が合った眼鏡やコンタクトレンズを使用することが大切です。そのためにも、定期的に検査を受けて視力の変化をチェックするようにしましょう。
ストレス解消
眼精疲労の予防には血流の悪化を引き起こすストレスを溜めすぎないことも大切です。現代社会でストレスを完全に排除するのは難しいですが、趣味やスポーツ、入浴などリラックスできる時間を作ってストレス解消を意識してみてください。
また、ストレスが強いときは何らかの病気が背景にある場合もあります。放置せず早めに医師へ相談しましょう。
病気のチェック
眼精疲労は上述したように様々な目の病気によって引き起こされることもあります。目の疲れを感じやすいときは、何らかの病気のサインかも知れません。目の疲れが続くときは無理せず眼科を受診して、視力の低下や眼の病気がないか検査を受けましょう。
ビタミン剤・サプリメントを摂取し体の内側からケア
眼精疲労は、体の内側から予防することも大切です。目の粘膜や神経を正常に保つビタミンB群、血流を促進し目の周りの筋肉の緊張をほぐすはたらきが期待されるアントシアニンを含むビルベリー、目のレンズである水晶体へのダメージや加齢黄斑変性という加齢による網膜へのダメージを軽減するはたらきが期待される亜鉛などの栄養素をしっかり補うようにしましょう。
食生活が乱れがちな人は、ビタミン剤やサプリメントを活用するのがおすすめです。