【医師監修】あせもの治し方は?原因や予防法について解説

【医師監修】あせもの治し方は?原因や予防法について解説

高温多湿な梅雨から夏の季節にかけて発症することが多い「あせも」。汗腺が詰まることで発生し、かゆみや不快感を引き起こします。

本記事では、あせもの原因、効果的な治し方、そして日常生活で実践できる予防法について詳しく解説します。正しい知識を身につけて、あせもによる不快な症状を軽減し、快適な生活を送りましょう。

  • あせもができる原因は?
    • 汗かぶれとの違いは?
    • あせもができやすい人とは?
  • あせもの治し方
    • 市販薬の種類と選び方
  • あせもの予防法
    • 皮膚を清潔に保つ
    • 汗を吸収する衣類を着る
    • 高温多湿な環境を避ける
  • あせもは日常生活の工夫で予防できる!

あせもができる原因は?

あせもができる原因は?

汗は汗腺という分泌腺から、汗管を通って排出されます。大量に汗をかいた状態をそのままにしておくと、汗に含まれる塩分やほこりなどによって、汗管が詰まってしまいます。その結果、汗をうまく排出できなくなり、皮膚に現れる湿疹が「あせも」です。あせもは、とくに汗をかきやすい高温多湿な梅雨から夏の時期にできやすくなります

汗かぶれとの違いは?

あせもとよく似た皮膚の病気に、「汗かぶれ(汗あれ)」があります。あせもは汗腺や汗管の詰まりから起こる皮膚の炎症ですが、汗かぶれは汗に含まれる塩分やアンモニアの刺激によって、皮膚がかぶれてしまった状態を指します

また、あせもと汗かぶれは見た目にも異なる点があります。あせもは汗管の出口にそって、ブツブツと点状に湿疹ができますが、汗かぶれは汗の出口とは関係なく、汗に触れた部分全体に面状に広がるのが特徴です。

あせもができやすい人とは?

あせもができやすい人とは?

あせもができやすい人の傾向として、大量の汗をかき、皮膚の摩擦が生じやすい人が挙げられます

たとえば、新陳代謝が活発で、よく動き回る乳幼児は、首まわりや背中、おしりなどにあせもがよくできます。また、肥満体型の人も、皮下脂肪によって皮膚表面にしわやたるみができ、そこに汗がたまりがちです。皮膚同士の摩擦も発生しやすいため、あせものリスクが高いと言えるでしょう。

そのほか、長時間同じ姿勢で座っている人や、寝たきりの人なども、同様の理由であせもができやすい傾向にあります。とくに病気や怪我などで寝たきりの高齢者は、長時間寝具と接触している背中などにあせもができやすくなるため、介護者はこまめに汗を拭いてあげるなど気を配るようにしましょう。

あせもの治し方

あせもは、次の3種類に分けられます。

  • 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)
  • 紅色汗疹(こうしょくかんしん)
  • 深在性汗疹(しんざいせいかんしん)

このうち、セルフケアで治すことができるのは「水晶様汗疹」と「紅色汗疹」です

水晶様汗疹は表皮のもっとも浅いところで汗詰まりを起こした状態で、白っぽく透き通った小さな水疱が生じます。汗の処理と保湿重視の正しいスキンケアを行えば、2~3日程度で症状は落ち着くでしょう。

紅色汗疹は、水晶様汗疹よりもやや深い位置で汗詰まりと炎症を起こした状態で、かゆみをともなった赤いポツポツができます。掻き壊すことで「とびひ」という細菌による感染症へ発展することがあるため、正しいスキンケアに加えて、市販の治療薬(OTC医薬品)でかゆみと炎症を鎮めることが大切です。

深在性汗疹は、表皮の最深部にできる汗詰まりです。亜熱帯地域でよく見られる皮膚疾患であり、温帯の日本ではほとんど見られません。深在性汗疹になると発汗による体温調節機能が失われるため、すぐに医療機関の受診が必要です。

市販薬の種類と選び方

市販薬の種類と選び方

あせもに効果のある市販薬には、軟膏やクリーム、ローション、スプレーなど、さまざまな形状のものがあります。それぞれ配合成分も異なるため、自分のあせもの状態にあった治療薬を選んで使用しましょう。

ジュクジュクした状態のあせもには、刺激の少ない軟膏がおすすめです。刺激性のあるクリームやローション、スプレータイプの使用は控えてください。

かゆみなどの症状が強い場合は、ステロイド成分配合の塗り薬を選び、炎症をしっかりと抑えましょう。とくに乳幼児はあせもを掻き壊してしまいやすいため、早い段階でおだやかな作用のステロイド外用剤を使い、かゆみや炎症を抑えてあげるとよいでしょう。

ただし、掻きむしって患部がただれたようにジュクジュクしている場合には、細菌感染症である「とびひ」に発展している可能性があります。とびひはステロイドによりさらに悪化する恐れがあるため、まずは皮膚科を受診しましょう。とびひの場合は、抗生物質の塗り薬が処方されます。

関連記事:【医師監修】湿疹とは?原因や主な症状、市販薬での治療法を解説します

あせもの予防法

あせもの予防法

あせもは予防できる皮膚疾患です。ここからは、すぐ取り入れられるあせもの予防法を紹介します。

皮膚を清潔に保つ

あせもの主な原因は、汗をかきっぱなしにしていることです。汗をかいたらシャワーや入浴などで洗い流し、皮膚を清潔に保つようにしましょう。すぐに洗い流すことができない場合は、濡れたおしぼりや肌ざわりのよいガーゼ生地のハンカチ・タオルなどで、やさしく拭き取ります。

皮膚をゴシゴシ擦ったり、一日に何度も石けんやボディーソープを使って洗ったりするのは、皮膚のバリア機能を損ない、あせものリスクを高める原因です。スキンケアもなるべく刺激の少ない、保湿効果の高いものを選びましょう。

汗を吸収する衣類を着る

汗をかきやすい時期は、綿100%や麻など、吸水性・通気性に優れた素材の衣類を着用しましょう。とくに肌に直接触れる下着は、吸水性・速乾性に優れた、ベタつかない素材のものを選ぶことがおすすめです

下着やベルトなどが当たる部分は、摩擦によりあせもができやすくなるため、できるだけゆったりとした、締め付けの少ない衣類を選ぶのもポイントです。

高温多湿な環境を避ける

適度な汗をかくことは体温調節において不可欠ですが、汗をかきすぎると、あせものリスクが高まります。エアコンや除湿器を使って、温度と湿度を調節しましょう。扇風機やサーキュレーターを活用し、空気を循環させると、より効率よく、快適な環境を作り出せます

また、長時間同じ姿勢でいると、汗がたまりやすくなってしまいます。なるべく姿勢を変え、汗が皮膚に留まらないように気をつけてください。

あせもは日常生活の工夫で予防できる!

あせもは軽症であればセルフケアでも治すことができますが、重症化したり、細菌感染を起こしてとびひに発展したりすると、医療機関での治療が必要になります。

一方で、あせもは普段の生活で汗をかきっぱなしにしないように気をつけるだけで、十分に予防できる病気です。暑い季節は、いつも以上に皮膚を清潔に保つことを心がけて過ごしましょう。

監修者写真

監修者
福井美典 先生

福井内科医院勤務

糖尿病内科、救急医療、総合内科、美容皮膚科、旅行医学、オーソモレキュラー栄養療法、産業医学

からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱくの食事の大切さを、自ら栄養指導をおこなう。分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、からだの細胞を活性化させる治療法を取り入れている。

野菜ソムリエの知識を生かし、栄養素が効率良く摂れる食べ合わせを意識したレシピを考案。美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。

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