関節に良い食べ物は?重要な栄養素、控えるべき食事も解説します

関節に良い食べ物は?重要な栄養素、控えるべき食事も解説します

加齢とともに多くの人が悩まされる膝などの関節の悩み。そのポイントとなるのは、食事や運動などの日々の生活習慣です。本記事では、関節の悩みの原因となる生活習慣を整理し、健康な体づくりに役立つ食べ物と、見直したい食習慣について詳しく紹介します。

  • 中高年に多い関節痛「変形性膝関節症」とは?
  • 関節の健康のために摂りたい食べ物
    • カルシウムを多く含む食べ物
    • ビタミンDを多く含む食べ物
    • ビタミンKを多く含む食べ物
    • タンパク質を多く含む食べ物
  • 摂りすぎに注意したほうが良い食べ物
    • カロリーの高い食べ物
    • 塩分の高い食べ物
  • 関節の悩みと肥満の関係とは?
    • 肥満度の目安は?
  • 健やかな関節を保つために食生活の見直しを

中高年に多い関節痛「変形性膝関節症」とは?

中高年に多い関節痛「変形性膝関節症」とは?

関節とは、骨と骨のつなぎ目にあたる部分です。骨と骨との間に生じる衝撃を和らげるはたらきをする関節軟骨や関節を包み込む関節包などで構成されています。

関節痛の原因は様々ですが、中高年で特に多いのが、加齢や肥満により膝の関節にある軟骨がすり減って、関節が変形する「変形性膝関節症」です。厚生労働省※は「変形性膝関節症」を高齢者の膝痛対策の対象となる主な疾患として挙げており、日本国内には症状を自覚している人だけで約1,000万人、潜在的な患者はその3倍いると推定しています。

※厚生労働省 「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について 報告書」

「変形性膝関節症」を発症すると、立つ、歩くなど日常の動作で膝が時々痛むことから始まり、進行すると曲げ伸ばしが難しくなる、激しい痛みが生じるなど、徐々に日常生活も制限されていきます。一度すり減った軟骨は元には戻らないため、病院での治療を早く始めるとともに、生活習慣の見直しによって、できるだけ進行を遅らせることが重要です。階段では手すりを利用する、関節を支えるサポーターを着用するなど、普段から膝にかかる負担を軽減することに努めましょう。

また、関節の悩みは加齢や肥満に伴う「変形性膝関節症」の他にも様々な原因が考えられます。痛みのほかに腫れや赤みなどの炎症がある場合は医療機関で診察を受けることをお勧めします。

関連記事:関節痛とは?原因となる病気や対処法も解説します

関節の健康のために摂りたい食べ物

関節の健康のために摂りたい食べ物

関節に痛みや違和感があると、身体を動かすことに消極的になりがちです。しかし、身体を動かさないと筋肉が衰えて姿勢が悪くなったり、関節の可動域が狭まってさらに動かしにくくなったりと悪循環を招く場合もあります。また、いきいきと身体を動かすためには年齢とともにもろくなりやすい骨を丈夫に保つことも重要です。

カルシウムを多く含む食べ物

膝や肩などの関節の健康を保つために、食事で骨や筋肉の働きに必要な栄養素を摂りながら適度な運動を続けましょう。食事でおすすめしたいのは、骨の構成成分であるカルシウムが豊富に含まれる食べ物を摂ることです。

カルシウムが豊富な食べ物は、小魚、めざし、桜えび、牛乳、チーズ、ひじき、海藻など。アーモンドなどのナッツ類、納豆や豆腐などの大豆食品に含まれるマグネシウムと一緒に摂取すると、より効率良く吸収できるといわれています。海藻類にはカルシウムもマグネシウムも含まれていますが、大量に摂取すると甲状腺の機能を低下させるリスクがあるため、注意しましょう。

ビタミンDを多く含む食べ物

ビタミンDには、カルシウムの吸収を促進する働きがあります。日光にあたることで体内でも生成されますが、十分とはいえません。ビタミンDには骨を丈夫にする働きが期待できるため、積極的に食事で補いましょう。

ビタミンDは魚類やキノコ類に豊富に含まれています。紫外線にあたるとビタミンDが増えるしいたけは、料理に使う前に天日干しするとなお良いでしょう。

ただし、ビタミンDは脂溶性ビタミンで、過剰摂取による体調不良を起こすおそれがあります。適量を守って摂取しましょう。

ビタミンKを多く含む食べ物

ビタミンKは、カルシウムを骨に取り込むのをサポートする栄養素です。ビタミンKを多く含む食材は、緑色の濃い葉野菜(ブロッコリー、キャベツ、小松菜、ほうれん草、ニラなど)、納豆、鶏もも肉、干しワカメなどです。

先述したカルシウムやビタミンDと一緒に摂取すると良いでしょう。カルシウムとビタミンKの両方を多く含む、小松菜やモロヘイヤ、納豆を毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ビタミンKもビタミンDと同様、脂溶性ビタミンですが、食事によって多量に摂取しても問題がないと言われています。

タンパク質を多く含む食べ物

身体や関節を支えている骨や筋肉が丈夫であれば、正常な姿勢が保たれ、関節への負担も軽減されます。骨や筋肉を構成するタンパク質は、食事からしっかりと補いましょう。

毎日の食事に取り入れる際は、脂質の少ない鶏むね肉やささみ、ラム肉、豆腐・納豆などの大豆製品、卵や乳製品がおすすめです。

摂りすぎに注意したほうが良い食べ物

摂りすぎに注意したほうが良い食べ物

関節の負担を考えると、摂りすぎに注意すべき食べ物もあります。

カロリーの高い食べ物

カロリーの高い食べ物の摂りすぎは、体重増加を招きます。体重増加は、関節にも大きな負担をかけることに。糖質や脂質を多く含むものの食べ過ぎは、肥満だけでなく、生活習慣病の引き金にもなるため、注意が必要です。

標準体重を上回っている場合は、栄養バランスの良い食事と適度な運動を心がけて体重による負荷を軽減することに努めましょう。

塩分の高い食べ物

食事で摂った余分な塩分は尿として排出されますが、この時ナトリウムと一緒にカルシウムも排出され、骨のもとになるカルシウムが不足してしまうことに。また、塩分の摂りすぎは高血圧や生活習慣病の原因にもなります。

関節の悩みと肥満の関係とは?

関節の悩みと肥満の関係とは?

肥満の人はダイエットで体重を減らすことで関節にかかる負担を軽減しましょう。

ただし、体重は軽ければいいというわけでもありません。過度なダイエットで痩せすぎると、膝を支えるために必要な筋肉まで落ちてしまいます。高齢の場合、筋力不足は転倒や寝たきりのリスクにもなるため、毎日の食事で必要なエネルギーをしっかり摂取することが大切です。自分の適正体重を知り、日々の食事や運動でコントロールしましょう。

肥満度の目安は?

自分の肥満度は身長と体重からBMI(Body Mass Index)の値を計算することで、簡単に求められます。日本では、もっとも病気にかかりにくい適正体重をBMI 22とする、日本肥満学会による判定基準を用いて肥満度を判断することが一般的です。BMIが25を超える場合には、関節痛や生活習慣の予防のために、日々の生活習慣を見直すことから始めましょう。

BMIの計算式
体重kg ÷(身長m×身長m)=BMI

例:身長160cm 体重60㎏の場合 BMIは23.44

肥満度の判定基準(日本肥満学会)

肥満度 BMIの範囲
低体重 18.4以下
普通体重 18.5~24.9
肥満(1度) 25.0~29.9
肥満(2度) 30.0~34.9
肥満(3度) 35~39.9
肥満(4度) 40以上

例:身長160cmの場合、普通体重に収まるのは47.4kg~63.8 kg

関連記事:【管理栄養士監修】理想のPFCバランスや食事とは?

健やかな関節を保つために食生活の見直しを

関節の健康を保つには、毎日の食事で骨や筋肉のもととなる栄養を摂ること、そして無理のない範囲で運動を続けることが重要です。特に肥満の人は標準体重の人より関節にかかる負荷が大きくなるので、バランスの取れた食事で体重をコントロールしましょう。

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監修者
當房清香
(国際中医薬膳師・薬事法管理者・調理師(ハラール認証)・医薬品登録販売者・フードコーディネーター2級・マスターオーガニックコーディネーター・オーガニックコスメマイスター・加工食品診断士) 

医薬品登録販売者としてOTC薬(市販薬)を販売する業務に就く傍ら、健康や薬に関する記事ライターとして活動。 調理師やフードコーディネーターの資格を保有し、更にはオーガニック・薬膳・食品添加物に関する資格も持っており、料理研究家。 「自分の未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」 ことを幅広い視点でお伝えしている。 元裁判所書記官であるが、妊娠・出産を機に転身し現在に至る。

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