コレステロールを下げる食事とは?コレステロールが高くなる原因や予防法を解説

コレステロールを下げる食事とは?コレステロールが高くなる原因や予防法を解説

コレステロールが高い状態が続いていると動脈硬化を起こすリスクが高まり、最悪の場合は命に関わることもあります。このようなリスクを回避するには、コレステロールが上がってしまう原因を知り、食事を中心に日常生活を見直すことが大切です。

本記事では、コレステロールが高くなるメカニズム、コレステロールを下げるために意識したい食事や生活習慣について詳しく解説します。

  • コレステロールとは?
    • HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの働き
  • コレステロールが高くなる原因とリスク
    • コレステロールが高いことで起こる病気
  • コレステロールを下げる食べ物と食事の摂り方
    • 魚類
    • 不飽和脂肪酸を含む食品
    • 食物繊維が豊富な食品
  • コレステロールを下げるために避けるべき食べ物
    • コレステロールを多く含む食品
    • 飽和脂肪酸を多く含む食品
    • トランス脂肪酸を多く含む食品
  • 食生活以外でコレステロールを下げるには?
    • 適度な運動
    • 禁煙する
    • ストレスを溜め込まない
  • コレステロールを下げる食事や生活習慣を意識しましょう!

コレステロールとは?

コレステロールは、血液中にある脂質の一つです。「コレステロールが高い」と健康状態に問題があるとみなされるため、一見するとその存在は悪者に思われてしまうかもしれません。

しかし、コレステロールは、滑らかな髪や皮膚を維持するほか、細胞膜・ホルモン・胆汁酸の原料となるなど重要な役割を担っています。不足すると、肌や髪はパサパサになり、細菌などにも感染しやすくなるため、体にとってなくてはならない存在です。

人間の体に存在するコレステロールのうち、2~3割は食事など体外から取り入れられ、それ以外は糖や脂肪を燃料に体内で合成されます。体内では常にコレステロールが一定量になるよう、合成する量を調整してバランスが保たれています。

HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの働き

コレステロールは、「HDL(善玉)コレステロール」と「LDL(悪玉)コレステロール」の2つの種類に分けられます。

HDL(善玉)コレステロールは、体内の血管壁にたまったコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を持ちます。余分にためこんだコレステロールは、血管壁に沈着を起こして動脈硬化の原因となりますが、HDL(善玉)コレステロールはこれを防ぐ働きをします。

一方、LDL(悪玉)コレステロールは、肝臓で生成されたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割です。ただし、過剰になると血管内にコレステロールをためてしまうため動脈硬化のリスクが上昇します。これこそが、LDLコレステロールが「悪玉」とされる理由です。

コレステロールが高くなる原因とリスク

コレステロールが高くなる原因とリスク

一般的に、コレステロールが高いとは、「脂質異常症」のことを指します。脂質異常症は、LDL(悪玉)コレステロールや血液中の中性脂肪が基準より高い状態、もしくは、HDL(善玉)コレステロールが基準値に満たない状態です。

コレステロールが高くなる原因はさまざまですが、主に、高コレステロール食品や悪質な脂質の過剰摂取、運動不足、肥満などの生活習慣を起因とするもののほか、ホルモンバランスの崩れ、体質や遺伝が関係していることもあります。

コレステロールが高いことで起こる病気

コレステロールが高い状態が続くと、血管壁にコレステロールが沈着し、プラークと呼ばれる塊が形成されます。これにより血管壁で動脈硬化が起こり、血管がつまりやすく、血栓も発生しやすくなります。

血栓により血管が塞がってしまうと、血流の途絶えた組織や臓器は壊死してしまいます。これが脳動脈で起こることを「脳梗塞」、心臓の冠動脈で起こることを「心筋梗塞」と言い、どちらも最悪の場合は死に至ることもあります。

このように、コレステロールが高いことで重篤な病気のリスクも上昇するため、日頃から正しい生活習慣を意識して、適正なコレステロール値を維持しておくことが大切です。

コレステロールを下げる食べ物と食事の摂り方

コレステロール値には日頃の食生活が大きく関係しています。コレステロールを下げるためには、体重を適正にし、摂取する食べ物や食事の摂り方を改善しましょう。

まずは、アルコールやジュース、間食はできるだけ控え、朝昼晩3食を規則正しく、適切な量を食べるように意識してみてください。目安は腹八分目で、5大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取できる和食を、減塩して食べることがおすすめです。また、よく噛んで食べれば満腹感がアップし、肥満予防にもつながります。

ここからは、コレステロールを下げるために積極的に摂りたい3つの食べ物を紹介します。

魚類

魚類

魚の脂肪にはEPAやDHAなどの成分が含まれ、血中コレステロールや中性脂肪を減らし、血液をサラサラにしてくれる効果があります。EPAやDHAは、とくにイワシやサバ、アジなどの青魚、鮭に多く含まれています。

EPA、DHA以外にも、魚類にはタンパク質なども多く含まれるため、肉類を魚に置き換えるなど主菜として積極的に摂取するといいでしょう。

不飽和脂肪酸を含む食品

不飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを減らすほか、動脈硬化や血栓の防止、血圧低下に効果的です。体内では合成できない成分で、魚の脂や植物性食品に多く含まれています。

先に紹介した魚類に加え、ナッツ類や豆類、アマニ油、米油などの良質な植物油を摂取するのもおすすめですが、植物油は摂り過ぎに注意し、1日大さじ1杯程度を料理に使うようにしましょう。

食物繊維が豊富な食品

食物繊維には血中コレステロールの吸収を抑えて、スムーズに体外に排出してくれる働きがあります。豆類、緑黄色野菜、海藻、きのこには食物繊維が豊富に含まれているため、副菜として取り入れてみてください。

また、食物繊維は精白度の低い穀類からも摂取でき、白米を玄米や雑穀米に換えてみるのもおすすめです。

コレステロールを下げるために避けるべき食べ物

食生活を見直す際には、コレステロールを上昇させる食品を避けることも意識しましょう。主に注意したいのは、以下の3つの食品です。

コレステロールを多く含む食品

コレステロールを多く含む食品

鶏卵の卵黄や魚卵、レバーやモツなどの内臓類にはコレステロールが豊富です。コレステロールを多く含む食品を控えることで、LDL(悪玉)コレステロールを下げる効果が期待できます。

飽和脂肪酸を多く含む食品

飽和脂肪酸とは常温で固まる油に多く含まれる脂肪酸のことで、LDL(悪玉)コレステロールを下げるためには摂取を避けたい成分です。バターやラード、チーズ、生クリームなどの乳脂肪のほか、ひき肉、鶏肉の皮などの肉類に多く含まれています。

普段から脂身の少ない赤身肉を選ぶ、鶏肉の油や皮は取り除く、牛乳は低脂肪乳を選ぶなど、ちょっとした工夫で摂取を抑えることができます。

トランス脂肪酸を多く含む食品

植物油脂にはトランス脂肪酸が含まれており、トランス脂肪酸の摂り過ぎはLDL(悪玉)コレステロールの増加につながります。マーガリンやショートニング、またそれらを原材料としたパンや洋菓子に多く含まれるため注意しましょう。

食生活以外でコレステロールを下げるには?

食生活以外でコレステロールを下げるには?

食生活を改善することに加えて、健康的な生活習慣を意識することもコレステロールを下げることにつながります。

ここでは、コレステロールを下げる効果が期待できる3つの習慣を紹介します。

適度な運動

週3日、1日30分以上の運動は、LDL(悪玉)コレステロールを効果的に下げ、内蔵まわりについた中性脂肪を燃焼します。ウォーキング、ジョギング、自転車などの中強度以上の有酸素運動を取り入れてみたり、普段の生活で一駅分歩く、エレベーターを使わないなど運動量を増やしたりするのも効果的です。

禁煙する

ニコチンや一酸化炭素を含むタバコは、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らしてしまう働きがあります。また、血圧上昇を招き、動脈硬化のリスクも高めるため、禁煙することをおすすめします。

ストレスを溜め込まない

ストレスを感じた時に分泌するストレスホルモンは、血中のLDL(悪玉)コレステロールを酸化させて動脈硬化のリスクを高めるほか、血管や血液を傷つけ、血糖値とコレステロール値を上昇させます。

ストレスを溜め込まないためには、どんなに小さなことでも楽しいと感じて没頭できる、自分なりのストレス解消法を身に付けておくことが大切です。

コレステロールを下げる食事や生活習慣を意識しましょう!

コレステロール値の上昇は、食生活や生活習慣が乱れることで起こりやすくなります。コレステロールを下げる効果が期待できる食事内容にしたり、運動習慣を身に付けたりするなど、毎日の生活を見直すことから始めてみましょう。

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監修者
中路 幸之助 先生

医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター
1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。

専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。

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