【医師監修】痛風とは?症状や痛みが起こる前兆、予防法を詳しく解説します

【医師監修】痛風とは?症状や痛みが起こる前兆、予防法を詳しく解説します

「風が当たるだけでも飛び上がるほど痛い」と言われる痛風(痛風関節炎)。痛風の発現には尿酸値(血液中の尿酸の濃度)が深く関係しています。尿酸値を高いまま放置していると、他の疾患を招くこともあるため、飲酒の機会や飲酒量が多い人は特に注意しましょう。本記事では、痛風の原因や初期症状とともに予防のためのアクションを解説します。

  • 痛風とは?
    • 痛風発作を引き起こす「高尿酸血症」
    • 痛風発作に予兆はある?
    • 痛風になりやすい人
    • 痛風の合併症
  • 痛風の予防法
    • プリン体の摂取を控える
    • アルコールの摂取を控える
    • 水分を十分に摂る
    • ストレスを解消する
  • 痛風発作が起きた時の応急処置
  • 生活習慣を見直して、尿酸値を下げよう!

痛風とは?

痛風とは?

痛風とは、高尿酸血症(尿酸の血中濃度が異常に高まった状態)が持続した結果、血液に溶けきらなかった尿酸が結晶(尿酸塩結晶)となって関節に沈着し、蓄積することで引き起こされる病気です。関節に沈着していた結晶の一部が何らかのきっかけで剥がれ落ちると、免疫細胞がこれを異物として認識して攻撃することで炎症が起こります。

急性の痛風関節炎(痛風発作)は足の親指の関節で起きることが多く、激しい痛みと腫れを伴います。7~10日で軽快し、次の発作までは無症状が続きますが、尿酸値をコントロールせずに放置すると、次第に痛風関節炎が頻発するようになり、発作がない時にも痛みや腫れが現れる慢性関節炎に移行する恐れがあります。

痛風発作を引き起こす「高尿酸血症」

尿酸は新陳代謝の結果生じる老廃物です。通常は尿とともに体外に排出されますが、尿酸が過剰に産生される、尿中への排泄力が低下するなどの要因で体内に増えすぎると尿酸値が高くなります。尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。

高尿酸血症は30歳以上の男性の30%が罹患していると言われています。そのものに自覚症状はありませんが、いつ痛風になってもおかしくない状態ですので、健康診断で「尿酸値が高め」と診断されたら、生活習慣や食生活を改めましょう。

痛風発作に予兆はある?

痛風発作に予兆はある?

痛風発作は夜明けや早朝などに起きることが多いとされています。痛みのピークは24時間以内におさまることがほとんどです。

尿酸の結晶化には温度も関係しており、多くの場合、痛む部位は足の親指の関節です。足の指先は体の中でも冷えるため、尿酸の結晶が沈着しやすく、これによって痛風発作が起きやすいと考えられています。同じ足の指でも、親指とその他の指では構造が異なり、関節が大きい親指で尿酸が結晶化しやすいことも足の親指に好発する一因です。

足首や足の甲、ひざ、手首、ひじなどに起きることもありますが、一度に複数の関節に痛みが生じることはまれです。痛風発作の前兆として、患部の違和感やむずむず感を訴える人もいるようです。

痛風になりやすい人

尿酸が過剰に産生される原因としては、レバー類や白子、一部の魚介類などに多く含まれるプリン体やアルコールの過剰摂取が挙げられます。高尿酸血症と診断されていなくても、次のような条件に当てはまる人は注意が必要です。

  • 肥満
  • レバーや魚卵など、プリン体を多く含む食品を好んで食べる人
  • 飲酒習慣のある人
  • 家族に痛風患者がいる人
  • 男性

女性に比べて、圧倒的に多い男性の痛風患者。腎臓から尿酸の排泄を促す働きを持つ女性ホルモンのおかげで、女性は痛風になりにくいと言われています。

また、家族に痛風患者がいると、痛風になるリスクは高くなるようです。遺伝的要因もありますが、一緒に暮らしている中での環境的要因も深く関わっていると考えられています。近親者に痛風患者がいる場合は、食事や生活習慣を見直すことが大切です。

痛風の合併症

痛風の原因となる高尿酸血症は生活習慣病のひとつです。同じく生活習慣病に数えられている糖尿病や脂質異常症、高血圧などを合併しやすいと言われています。

複数の生活習慣病を併せ持つと、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こすリスクが上がります。

また、高尿酸血症により腎臓に尿酸塩結晶が溜まると、腎障害を起こすおそれも。結石が腎臓から尿管に移行すると、激しい痛みをともなう尿路結石の原因となります。
痛風発作が起きたらできるだけ早く医師の診察を受け、高尿酸血症の改善に努めましょう。

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痛風の予防法

痛風の予防法

痛風発作を起こさないようにするためには、日ごろから予防を心がけることが大切です。今日からできる痛風の予防法を紹介します。

プリン体の摂取を控える

食事で摂取したプリン体は、体内で最終的に尿酸に代謝されます。レバー類や白子、エビ・イワシ・カツオなど一部の魚介類には、プリン体が多く含まれているため、食べ過ぎに注意しましょう。

また、プリン体は水に溶けやすい性質があります。これらの食材を使う際は「茹でる」「蒸す」「煮る」などの調理方法がおすすめです。これらの食材を含む煮物や鍋料理を食べる際は、汁まで飲み干さないように意識しましょう。

アルコールの摂取を控える

アルコールは肝臓でのプリン体生成を促進し、生成されたプリン体は、体の中の尿酸値を上げる方向に働きます。また、アルコールが分解されてできたアセトアルデヒドには尿酸の排泄を妨げる作用があります。アルコール自体に利尿作用があるため、体内の水分を過剰に排泄してしまうことも尿酸値上昇の一因です。

健康的な生活のために、1日の飲酒量の上限は日本酒なら1合、ビールは500mL、ウイスキーはダブル1杯を目安にしましょう。高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、禁酒日を週2日以上設けることが推奨されています。

これに加えて、お酒の席ではプリン体を多く含むおつまみ(白子やあん肝、魚の干物など)の食べ過ぎにも注意が必要です。

水分を十分に摂る

尿酸は主に尿から排出されます。水分を十分に摂って尿量を増やせば、体内の過剰な尿酸を体外に排出しやすくなります。

ストレスを解消する

ストレスをため込むと、尿酸値が上がりやすくなるという報告もあります。ストレスによって過度な飲酒や過食をしてしまう人は要注意です。自分に合ったストレス解消法を見つけて、定期的にストレス発散しましょう。

痛風発作が起きた時の応急処置

痛風発作が起きた時の応急処置

患部の激痛と腫れを生じる痛風発作。痛みが足など低い位置にある場合は、机や枕などを使って、高い位置に上げましょう。また、患部を冷やすことも痛みの鎮静に有効です。

痛いからと言ってマッサージしても痛みは解消できません。むしろ悪化してしまう恐れがあるため、できるだけ安静に過ごしましょう。事前に医師から痛風発作用に処方された薬があれば、指示通りに服用してください。

痛風発作が少し落ち着いて動けるようになったら、なるべく早く医療機関で診察を受けましょう。かかりつけ医がいる場合はその病院を、初診で行く場合は「内科」「総合診療科」または「整形外科」で診察を受けられます。

生活習慣を見直して、尿酸値を下げよう!

激痛を伴う痛風発作。尿酸値が高めと診断されたら、食事の見直しや飲酒習慣の改善、肥満解消のための運動を意識して、痛風を予防しましょう。

痛風の原因である高尿酸血症を放置すると、尿路結石や慢性腎不全など他の疾患を招くこともあります。痛風発作が起きたらできるだけ早く病院を受診し、高尿酸血症の治療を始めることをおすすめします。

監修者写真

監修者
福井美典 先生
福井内科医院勤務
糖尿病内科、救急医療、総合内科、美容皮膚科、旅行医学、オーソモレキュラー栄養療法、産業医学

からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱくの食事の大切さを、自ら栄養指導をおこなう。分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、からだの細胞を活性化させる治療法を取り入れている。
野菜ソムリエの知識を生かし、栄養素が効率良く摂れる食べ合わせを意識したレシピを考案。美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。

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