痛風とは?
痛風とは、高尿酸血症(尿酸の血中濃度が異常に高まった状態)が持続した結果、血液に溶けきらなかった尿酸が結晶(尿酸塩結晶)となって関節に沈着し、蓄積することで引き起こされる病気です。関節に沈着していた結晶の一部が何らかのきっかけで剥がれ落ちると、免疫細胞がこれを異物として認識して攻撃することで炎症が起こります。
急性の痛風関節炎(痛風発作)は足の親指の関節で起きることが多く、激しい痛みと腫れを伴います。7~10日で軽快し、次の発作までは無症状が続きますが、尿酸値をコントロールせずに放置すると、次第に痛風関節炎が頻発するようになり、発作がない時にも痛みや腫れが現れる慢性関節炎に移行する恐れがあります。
痛風発作を引き起こす「高尿酸血症」
尿酸は新陳代謝の結果生じる老廃物です。通常は尿とともに体外に排出されますが、尿酸が過剰に産生される、尿中への排泄力が低下するなどの要因で体内に増えすぎると尿酸値が高くなります。尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。
高尿酸血症は30歳以上の男性の30%が罹患していると言われています。そのものに自覚症状はありませんが、いつ痛風になってもおかしくない状態ですので、健康診断で「尿酸値が高め」と診断されたら、生活習慣や食生活を改めましょう。
痛風発作に予兆はある?
痛風発作は夜明けや早朝などに起きることが多いとされています。痛みのピークは24時間以内におさまることがほとんどです。
尿酸の結晶化には温度も関係しており、多くの場合、痛む部位は足の親指の関節です。足の指先は体の中でも冷えるため、尿酸の結晶が沈着しやすく、これによって痛風発作が起きやすいと考えられています。同じ足の指でも、親指とその他の指では構造が異なり、関節が大きい親指で尿酸が結晶化しやすいことも足の親指に好発する一因です。
足首や足の甲、ひざ、手首、ひじなどに起きることもありますが、一度に複数の関節に痛みが生じることはまれです。痛風発作の前兆として、患部の違和感やむずむず感を訴える人もいるようです。
痛風になりやすい人
尿酸が過剰に産生される原因としては、レバー類や白子、一部の魚介類などに多く含まれるプリン体やアルコールの過剰摂取が挙げられます。高尿酸血症と診断されていなくても、次のような条件に当てはまる人は注意が必要です。
- 肥満
- レバーや魚卵など、プリン体を多く含む食品を好んで食べる人
- 飲酒習慣のある人
- 家族に痛風患者がいる人
- 男性
女性に比べて、圧倒的に多い男性の痛風患者。腎臓から尿酸の排泄を促す働きを持つ女性ホルモンのおかげで、女性は痛風になりにくいと言われています。
また、家族に痛風患者がいると、痛風になるリスクは高くなるようです。遺伝的要因もありますが、一緒に暮らしている中での環境的要因も深く関わっていると考えられています。近親者に痛風患者がいる場合は、食事や生活習慣を見直すことが大切です。
痛風の合併症
痛風の原因となる高尿酸血症は生活習慣病のひとつです。同じく生活習慣病に数えられている糖尿病や脂質異常症、高血圧などを合併しやすいと言われています。
複数の生活習慣病を併せ持つと、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こすリスクが上がります。
また、高尿酸血症により腎臓に尿酸塩結晶が溜まると、腎障害を起こすおそれも。結石が腎臓から尿管に移行すると、激しい痛みをともなう尿路結石の原因となります。
痛風発作が起きたらできるだけ早く医師の診察を受け、高尿酸血症の改善に努めましょう。