食物繊維やビタミン、ミネラルなどを多く含み、健康な体づくりに欠かせない栄養源である果実(フルーツ)。中には「スーパーフード」と呼ばれるほど、特定の栄養素を豊富に含むものもあります。そこで今回は果物に多く含まれる栄養素を整理し、おすすめの食べ方を解説します。
果実(フルーツ)を食べることのメリット
果実は健康増進に役立つ多彩な栄養素を含んでいます。間食や食後のデザートとして食べることが多く、嗜好品と捉えられがちですが、食事の栄養バランスを整える役割を考えると、野菜と同じように日々の食事で継続して摂取すべき食材です。
ただし、果実は野菜と異なりブドウ糖や果糖を多く含みます。過剰摂取は中性脂肪の増大や肥満を招く恐れがあるため、食べすぎには注意しましょう。
<果物を食べることで摂取できる栄養素とその機能の例>
果実の推奨摂取量は1日あたり200グラム
厚生労働省・農林水産省は「食事バランスガイド」の中で1日あたり200グラム(可食部)の果実を継続して摂取することを推奨しています(※1)。
(※1)糖尿病、高血圧などで食事指導を受けている人は医師や管理栄養士の指導に従ってください。
果物摂取量(200グラム)の目安
みかん:1日2個
りんご:1日1個
かき: 1日2個(大きめのものは1個)
もも:1日2個(大きめのものは1個)
キウイフルーツ:1日2個
なし:1日1個
ぶどう:1日1房
日本人の食生活では果実が不足しがち
上記の推奨摂取量を見て「意外と多い」と感じた人も多いのではないでしょうか。実際に日本人1日当たりの果実摂取量は平均100.2グラム(※)にとどまり、特に20~50代では果実の摂取不足が顕著に見られます。
食物繊維やビタミン、ミネラルは生命活動を維持するために欠かせない栄養素。毎日をいきいきと過ごすためにも果実を継続的に摂取する方法を考えてみましょう。
(※2)厚生労働省『国民健康・栄養調査(2019年)』より
1日200グラムの果実を継続して摂る方法
毎日200グラムの果実を継続して摂るためには下記の工夫が有効です。
三食やおやつなど複数に分けて少しずつ摂る
1日の摂取目安が多いと感じる場合は、三食で少しずつ食べる、おやつや夜食として摂るなど、タイミングを工夫してみましょう。弁当にカットフルーツをプラスするなども手軽です。忙しくて朝食を抜きがちな人は、ヨーグルトに果実を入れて食べるなど、少しでも栄養を摂ることを意識してみてください。
100%ジュースやスムージーなどで摂る
飲み物で果実をとる方法もあります。ただし果汁100%ジュースの場合、「食事バランスガイド」では飲んだ量の半分(200グラム飲んだ場合は100グラム)を果実としてカウントするとしています。ジュースはあくまで補完的なものとして考えましょう。
料理に具材として使用する
そのまま食べてもおいしい果実ですが、酢豚にパイナップルを、カレーにすりおろしたりんごを入れるなど、料理の具材や隠し味としても活用できます。かきやメロンは塩気のある生ハムと合わせることで甘味が際立つなど、健康増進にとどまらないメリットも。
ただし、ドライフルーツや缶詰といった果物の加工品は、製造過程で重量当たりのエネルギー量やその他の栄養成分が加工前の果物よりも増加しているものが多いため、料理に取り入れる際は、その風味を活かし砂糖、油脂の使用は控えめにしましょう。
「スーパーフード」とは?
果実の中でも、健康成分を多く含むものは「スーパーフード」と称されることがあります。一般社団法人日本スーパーフード協会によると下記の2点がスーパーフードの定義です。
- 栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。
あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
- 一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。
スーパーフードとそれ以外の食品を区別する明確な基準はなく、どの食品を挙げるかは提唱者によって異なりますが、広く知られている果実には下記が挙げられます。これらの果実は普段の食事で不足する栄養素を補うように、必要に応じて食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
アサイー
スーパーフードの代表的存在とも言えるアサイー。鉄分や抗酸化作用のあるアントシアニンが豊富で、女性にぴったりのスーパーフードです。スムージーやアサイーボウル(アサイーと豆乳で作ったスムージーにバナナやいちごなどのフルーツをトッピングしたスイーツ)などで朝食として摂るのもおすすめ。
マキベリー
赤色や青紫色のもととなる天然色素アントシアニンをたっぷり含んでいるフルーツの一種です。それぞれ構造の異なるアントシアニンを8種類含んでいますが、特に抗酸化作用の強いデルフィニジンを多く含むことが特徴です。
マキベリーの生産地は世界でもごく一部の地域に限られており、日本で生の果実を食べられる機会はほとんどありません。そのため、フリーズドライ加工したパウダーを料理やスムージーに混ぜて使うのが一般的。お肉料理のソースにするのもおすすめです。
ゴジベリー(クコの実)
欧米ではゴジベリー、日本ではクコの実として知られる果実です。杏仁豆腐の上にのっている赤い実のことです。
ビタミンCやベータカロテンなどの抗酸化作用を持つ栄養素が豊富で、肌をすこやかに保ちたい人にぴったり。薬膳料理やドライフルーツで摂るのが一般的です。
アセロラ
レモンの約17倍ものビタミンCを含む真っ赤な果実です。疲れを感じている時や、健康的な肌を目指している時には積極的に摂りましょう。生のアセロラは傷みやすく、保存がきかないため、ジュースやジャムなどで摂取できます。
継続的な果実の摂取で健康維持を!
健康や美容に良い栄養を含む果実は、食事の栄養バランスが乱れがちな現代人の味方です。普段まったく果実を食べない人は、まず1日の推奨摂取量200グラムを摂ることを目標に食生活を見直してみましょう。
ただし、果実の中には一部の医薬品との相互作用が報告されている成分を含むものもあります。グレープフルーツやブンタンなどがその一例です。薬を飲まれている方は、医師や薬剤師に相談しながら、健康維持のための食生活を考えてみてください。
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